遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

瀬戸山水紋膾皿

2021年08月31日 | 古陶磁ー国焼

瀬戸の膾皿です。

古伊万里コレクターのDr.Kさんのブログで「染付 網目文 小角徳利」が紹介されていました。徳利は、伊万里ではなく、瀬戸産だろうとのことでした。で、いつものように、そういえばウチにも、となった次第です(^^;

径 15.7㎝、高台径 9.3㎝、高 3.1㎝。幕末―明治。

故玩館改修時に、床下から拾い上げた物の一つです(^^;

山水図と一樹一屋図をミックスしたような絵付けです。おまけに、門や塀のような物まで描きこんでサービス満点です。水辺で通眼鏡かラッパを持った紅毛人まで立っていそうな雰囲気です(^.^)

この品は、ありふれた日用品なのですが、産地はどこでしょうか。

普通なら伊万里焼となるところですが、幕末から明治にかけて、瀬戸では猛烈な勢いで磁器生産を行うようになりました。故玩館の辺りは、地理的な事もあって、瀬戸の器がほとんどです。そんな訳で、この膾皿も瀬戸製としました。

骨董屋の親爺の言では、瀬戸の土は伊万里より粗いそうです。

そう言われてみれば、そんな気もする今日この頃です(^.^)

 

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李朝面でアッカンベー

2021年08月30日 | 古面

木彫の李朝面です。

右:縦 27.3㎝、横 14.7㎝、厚 6.3㎝。重 416g。

左:縦 26.8㎝、横 14.2㎝、厚 5.8㎝。重 324g。

李朝面ということで購入した品です。

雑誌などに載っている李朝面は、ひょうきんで大らかです。しかし、このような正統李朝面は非常に稀少で高価です。祭礼に使われる面が多く、終わったら燃やされるのが常だからです。そんな訳で、100個ほどある故玩館の木彫面の中で、正統李朝面は一個もありません。貧乏コレクターとしては、やむを得ず、ニッチな李朝面の入手と相成った次第です(^^;

右:

左:

二つの面は、非常によく似ていますが、右の面の方が、やや大きく少し重いです。多分、右が男面、左が女面だと思います。2面でペアでしょう。

面の裏側には、白い線が意味ありげに伸びています。

これは何?

表の赤い塗りが剥げた部分には、白い下塗りが現れています。

裏面に伸びていた白線は、表側の下塗りをした時に、余分の白塗料が目から裏側へ流れ出たものでした。

 

この面は非常に変わった点が一つあります。それは瞳です。

世界中の仮面は、大きく二つに分類できます。目が開いている物と閉じている物です。人間が顔に着ける面のほとんどは前者です。ところが、今回の面は、目が開いていますが、その中に瞳を彫ってあるのです。

両面とも、怒っているようにも笑っているようにも見えます。いずれの表情も、瞳があるので、リアリティがあります(^.^) ・・・・・・・・

などと言っているのは人間の都合だとばかりに・・・・

   😜アッカンベー😜

 

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これは何だ!? 李朝花台

2021年08月29日 | 面白グッズ

高麗・李朝系統の陶磁器はわからないことだらけです。

どうせスッキリしないのなら、いっそ、極め付きの「訳の分からない物」でドーンと行きましょう。故玩館には訳の分からない物がゴマンとありますが、その中で5本の指に入るものです(^.^)

李朝?の花台?です(^^;

横 23.8cm、奥行 27.7cm、高 40.6cm。重3.0㎏。   李朝時代。

 

骨董市で、李朝の花台として売っていました。

木の切り株・根を利用して作ってあります。

 

何とも奇妙な物ですが・・・

男の被り物からすると、やはり李朝でしょうか。

 

木はかなり古いです。意味ありそうでなさそうな曲線が見られますが、虫がなめた跡です(^.^)  虫が喰った小さな丸い穴もあちこちにあります。堅い材でこのような虫食い痕が見られる場合、日本でいうと江戸時代位の時代があります。

他にもいくつか穴があいています。これは虫食いではなく、人が開けたもの。しかし、何のための穴か不明です。

 

花台ということですから、花をおいてみました。

うーん、これをどう評価するか(^^;

 

そういえば、帽子に意味不明な黒パイプ(長1.5㎝)が取り付けられています。

一輪挿しに使ってみました(^.^)

     『 李朝男に花』

これじゃあ、あまりに月並みですね。

ちょっとひねって、『無我の苦笑』

いまいちですね(^^;

ということで、展示会に出したとして、これはと思うタイトルをつけてやって下さい・・・・・大募集中(^.^)

 

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青磁象嵌雲鶴紋梅瓶

2021年08月28日 | 古陶磁ー高麗・李朝

青磁象嵌雲鶴紋梅瓶です。

最大径 23.4㎝、口径 7.0㎝、底径 8.9㎝、高 40.6㎝。時代不詳。

大きな青磁の壷です。青磁釉は透明で、ビッシリと貫入があります。

胴には黒丸の内外に多くの鶴が、その間には雲が配置されています。

肩と裾には連弁紋、鶴の間を雲が配置されています。

この種の壷は、高麗青磁の定番の一つで、現在でも盛んに造られています。

黒丸の中の鶴は40匹、丸の外側には24匹の鶴がいます。

丸の中の鶴は空へ、外の鶴は下向きに飛んでいます。

奇妙な事に気が付きました。丸の中央(鶴の腹)には、必ず小さな穴が開いているのです。外側の鶴には穴は開いてません。これは一体どうしてでしょうか。丸く削る時に、コンパスのような道具を用いたのでしょうか。穴くらい、埋めておいてほしい(^.^)

もう一つ、不思議があります。

よく見ると、鶴の腹部が凹んでいます。丸の内側の鶴も、外側の鶴も、同じように腹部が凹んでいるのです。ツルの腹部を指でグッと押さえたように思えます。

一体、何のために?

よーく見ると、凹んだ部分は、外の部分よりも青磁釉が厚くなっているので、少し青色が濃いです。丸の内の鶴、外の鶴、いずれも青味が他よりも少し増しています。

こうやって鶴を強調しようとする試みだったのでしょうか。

 

下部の連弁紋です。

よく見ると、弁の中央に、◯が縦にならんでいます。これは本来、真中に黒点がある白の◯なのです。

本歌の青磁象嵌雲鶴紋瓶(『世界陶磁全集18  高麗』)が本に載っています。

本歌と較べてみるとわかります。

この品は、削った所に、白、黒の土を入れるのを忘れているのです(^^;

 

そして、底部。

巧妙な直しがあります。0時、2時、6時、9時の辺りに共色直しが施されています。窯の中で底がくっつくの防ぐために、土を置いて焼成したのですが、焼成後、取り出す時に、数カ所、大きな疵が出来たのだと思います。その部分を補修したのですね。

この品、いくつか不思議な点があります。試作品、よく言えば、新たな試みに挑戦した品?いずれにしても、立派なコピー品を作ろうとしたとはとても思えません。普通なら、物原行きの品ですね(^^;

解せないのは、そんな品に、立派な(^^;)直しを施したことです。以前の李朝染付草紋大徳利のように、駄品に直し?

フシギの品です(^.^)

 

 

 

 

 

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青磁象嵌草花紋花瓶 ~土産の虫にも五分の魂~

2021年08月27日 | 古陶磁ー高麗・李朝

今回は、青磁象嵌草花紋花瓶です。

最大径 11.5㎝、口径 9.9㎝、底径 9.6㎝、高 17.7㎝。近年作。

どこから見ても新しい品です。

それもそのはず、これは韓国土産でもらった物です。当然いい加減な扱い。通り一遍のお礼を言った後は、しっかり見たこともありませんでした(^^;

妙に整っていて綺麗、しかし全体に力がない。

これは、悪意があるかないかにかかわらず、コピー品がもっている特徴です。

肩の連弁紋も、ひょろひょろした線。

これは象嵌ではなく、筆で描いたに違いない ・・・・

と思いきや、拡大してみると ・・・・・

白線に沿って、貫入が入っています。

 

草花の黒い茎にも・・・・

貫入が入っています。

象嵌で地を削ると、模様に沿ってひずみが生じるので、焼成した後、上釉に貫入が入るのです。

下部の連弁紋内の黒丸の中には・・・・

上釉がはじけて、黒土がのぞいています。

これまで、土産物の青磁ではね、と思っていたのですが、真面目に造られているのですね。

しかし、こうなってくると逆に、高麗、李朝物に対する見方が、ますますわからなくなってきました。

ふっと底を覗くと・・・

上側の造りとは不似合いな底造り。

製作者も息が抜けてしまったらしい(^.^)

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