遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

白磁四方筒形大花瓶

2023年06月29日 | 花道具

今回も、祖父の大きな花道具です。

口 13.2x13.3㎝、底 13.4x13.5㎝、高 59.3㎝。重 6.75㎏。明治、大正。

四角筒形の大花瓶です。非常に重い品です。少しクリームがかった白磁釉が、内側、外側に掛かっています。

底に、「み〇〇作」とあるので、近代の作です。

とにかく、大きくて重い。

よっこらしょと横たえると、

デパートで催される〇〇展の出品オブジェみたいですね(^.^)

でも、それではいけないと、気を取り直して直立させました。

しかし、ここから先は、やはり私の手にあまります(^^;

ブログ読者各位、想像力をいかして、ご自分の花をお入れください(^.^)

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

海鼠釉大花瓶

2023年06月27日 | 花道具

この品も、祖父の遺した物です。

口径 18.0㎝、最大径 28.8㎝、底径 16.7㎝、高 33.3㎝。重 5.12㎏。産地、時代不祥。

巨大というほどではないですが、大きな花瓶です。大きさの割りに、とても重いです。

海鼠釉が全面に掛かっています。

内側も全面施釉。

海鼠釉の陶磁器といえば唐物が有名です。が、この品が中国製かどうかは、はっきりしません。とても固く焼きしまった土で、底の露胎部には緋色が出ています。中国を思わせますが、胴継ぎでは無いようです。

内側には轆轤目があります。それに対して、外側上部と下部は非常に滑らかです。

一方、胴の中央部は、大きく削られて鎬になっています。

結果、上部と下部が圏線でぐるりと縁どられ、中央が面取りになったモダンな造形の器となっています。

これなら、渋い草木で荘厳に活けなくても何とかなりそう(^^;

ということで、今回も我楽多流の生花です(^.^)

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

志野焼の色の不思議を考える

2023年06月25日 | 古陶磁ー全般

先回のブログで、志野焼の大花瓶をアップしました。

この品を眺めているうちに、以前から抱いていたいくつかの疑問点を何とかクリアーしたいという欲望がむくむくと頭をもたげてきました(^^;

疑問は、大きく二つ。

まず、志野はどうして白いのか?もう一つは、志野の絵付けは鉄絵なのに、茶色ではなく、黒っぽく見えることが多いのは何故か?

そこで、二種類の志野焼を詳細に観察し、この疑問を解こうと考えました。

『志野竹椿紋大花瓶』明治、大正時代。

『志野山水草花紋火入』桃山時代。

 

まず、志野の白さについてです。

表面の顕微写真です。

『志野竹椿紋大花瓶』

 

『志野山水草花紋火入』

どちらにも、大小無数の気泡がみられます。この気泡が、光を乱反射するのでしょう。しかし、これほど多くは無いですが、釉薬中の気泡は、青磁や伊万里などの磁器にもみられます。しかし、それらは、白くは見えません。写真をよく見ると、気泡の他に、長石の白い結晶が多数あります。この解像度ではわからないほど微細な結晶はもっと多くあるでしょう。さらに、気泡をもう一度みなおしてみると、気泡が白く縁取りされていることがわかります。気泡の表面に、長石成分が析出しているのです。これは、青磁や染付磁器の気泡ではみられません。結局、上釉中の長石の結晶と白い気泡の両方が相まって、独特のふわっとした白さが生じていると考えられます。

もう一つの大きな疑問は、志野に施された絵付けの色です。

今回の志野焼の品は、いずれも、描かれた絵が、鼠色~黒色に見えます(『志野山水草花紋火入』は、少し茶色がかった鼠色)。このような色の絵付けは、図録中の名品でも多く見られます。

『鼠志野秋草紋額皿』東京国立博物館

志野は、鉄分の多い鬼板を用いた鉄釉によるものだといわれています。しかし、鉄釉は褐色です。濃度の濃い鉄釉を用いれば黒色になりますが、中間の鼠色を出すのは無理です。

ひょっとして、志野の絵付けは、鉄釉ではなく、山呉須などのくすんだ黒青による?

幸いにも、今回の志野大花瓶は、品物が大きいため、長石釉の掛け残しや釉はじきが多くあります。それをてがかりに・・・・

竹の葉の一部には長石釉が掛かっていません。その部分は褐色です。

反対側の椿の葉は、もっとはっきりと。

長石釉のかかっていない所は褐色、釉薬におおわれている所は黒褐色に見えます。

顕微写真で拡大してみると・・・

長石釉が有る、無しの違いがよくわかります。

鉄分で発色した色が、長石釉中の気泡や長石結晶によって、黒っぽく見えるのですね。

 

『志野山水草花紋火入』については・・・

2本の草葉のうち、左側の濃い方は黒っぽく見え、右側の薄く描かれた葉は茶色に見えます。

桃山時代、志野が焼かれた後、江戸初期にかけて、薄く長石釉を掛け、高温で焼成した志野織部が大量に作られました。どの品も、模様は褐色で、くっきりとしています。桃山の志野に比べて、気泡や長石結晶が少なく、上釉の透明度が高いからです。その分、盛期の志野に比べて雅味に劣ります。また、鼠色の模様をもった品もありません。

 

再び、志野大花瓶の顕微写真です。

小さなピンホールが多く見られるのも志野の特徴の一つですが、穴の部分は、茶色になっていることがわかります。

さらに、場所によっては、

濃紺がかった色合いの窯変がみられます。茶色からのグラデーションは、火山活動を見るかのようです。

このように複雑な色の変化も、志野の風雅な味わいを作り出しているのでしょう。

 

さらに、今回、もう一つ気づきました。

椿の葉の葉脈です。

一見すると、白い線を引いたか、鉄釉を塗らない部分を線状に残したかのどちらかに思えます。

しかし、拡大してみると・・・

線状に彫った部分に白土を入れて、象嵌になっていることがわかります。

『志野竹椿紋大花瓶』は、大きな品にもかかわらず、けっこう手のこんだ品物だったのですね(^.^)

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

志野竹椿紋大花瓶

2023年06月23日 | 花道具

やはり祖父の遺した花道具の一つ、志野焼の大花瓶です。

口径 10.3cm、最大径 18.2㎝、底径 11.3㎝、高  33.0㎝。明治~大正。

志野焼の大きな花瓶です。美濃窯の品と思われます。

ウチにある花瓶の中ではそれほどの大きさではないですが、志野の器としては最大級でしょう。

轆轤目の効いた器に、分厚く長石釉が掛かっていて、一部は雪崩のようになっています。

器内部も長石釉。

釉下には大きな竹が描かれています。

志野特有の半透明釉薬を通して、竹葉がぼやっと浮かび上がります。また、所どころに緋色が出ています。

反対側には、椿と思われる植物が描かれています。

志野焼ですから、これだけで十分に鑑賞に堪えますが、口径が小さいのでなんとかなるのでは・・思いきって花を入れてみました(^.^)

 

コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クズ種でジャガイモ連作記録更新

2023年06月21日 | ものぐさ有機農業

梅雨の合間をぬって、ようやくジャガイモを掘り上げました。

手前、左側がメークイン、右側が北海͡コガネ、奥に大量にあるのは男爵です。

今回のジャガイモ栽培のポイントは二つあります。

まず、連作記録の更新です(相変わらず大げさ(^^;)。以前にも書きましたが、私のものぐさ有機農業の基本は連作。連作に弱いといわれるジャガイモを、ずーーーーっと、毎年、同じ場所で作り続けてきました。いつ頃からか、もう覚えていません(^^; すくなくとも、20年は経っているので、今年を連作21年目としましょう。出来がイマイチの年には、これでいいのだろうか、と迷うこともありました。結果しか、判断基準はありません。で、今年の結果は、オーライなのでほっとしたところです(^.^)

二つ目のポイントは、クズ種でうまくいくか、でした。前の年に収穫したジャガイモ(男爵、メークイン)が大量に残っていたので、モヤシのような芽が伸び放題の皺くちゃイモを植えてみたのです。結果は、写真の通り。地上の草丈はイマイチだったのですが、地下のイモは大丈夫でした。ただ、通常の大きさのイモの他に、株元に、小さなジャガイモが多数付いていたのは皺くちゃ種芋のため?

例年悩まされるそうか病もほとんど無し。ケラの穴もまずまずでした。

来年も、このやり方で連作記録に挑戦します(^.^)

ps. 北海コガネは、初めて作りました。スペースが空いていたので、種を購入して植えました。他のジャガイモより生育速度がゆっくりで、堀り上げ時もまだ地上部は青々でした。が、地下のイモはOK。メークインと同じ形です。皮や身が黄金色なのでこの名がついたとか。フレンチフライに向いているジャガイモらしい。はたしてお味は?食べ過ぎに注意(^^;

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする