遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

ガラス8 ガラス電笠ビーズ飾り

2020年08月31日 | ガラス

故玩館を大改修するにあたり、1階は江戸・明治、2階は大正・昭和のコンセプトでいこうと決めました。

その際、灯りは、部屋の雰囲気づくりにとても重要です。

そして、古民家改修で一番頭を悩ますのも、実は灯りなのです。

まず、部屋の天井が低いので、市販の照明器具では縦方向が詰まってしまいます。もう一つは、和の雰囲気に合う灯りがなかなか見つからないことです。

故玩館の場合、2階は天井をなくしたため、空間は十分にあります。そこで、照明は基本的に吊り下げ型で裸電球としました。あとは、アンティークの燈を気長にさがせばいいわけです。

いろいろ試行錯誤しましたが、2階のこの部屋には、最終的に、シンプルな戦前のガラス青色電笠二つとしました。

このシンプルな青色電笠は、昼夜、それなりの雰囲気があります。

 

もうひと頑張りしてみました。

ガラスビーズでできた電笠飾りです。

17.8㎝x18.8㎝。 大正~戦前。

スカートのようになっていて、電笠にかぶせるようになっています。

 

 

 

色ガラスビーズで花が描かれています。

 

下端には、ガラス管が。

 

極小ガラスビーズ(径2㎜弱)60-70個と小ガラス管(径2㎜、長さ3㎝)からなるビーズ紐が、全部で155本も連なっています。ガラスですから、小さくてもおやッと思うほど重い(^^;

 

ガラス飾りを電笠につけると・・・

昼間でも、華やかです。

 

夜になると・・・

大正ロマン満開ですね(^.^)

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ガラス7 ガラス暖簾

2020年08月29日 | ガラス

今回は、ガラスの暖簾です。

以前紹介した、ガラスビーズ簾に比べると、はるかに軽いので実用的です。

何が実用的かと言いますと、故玩館の危険を防ぐのに役立っているのです。

まずは、ガラス窓衝突の防止。

玄関の様子です。当然、外は明るく、内は暗い。古民家はその程度が大きいのです。

 

雨戸兼防犯戸を開けると・・・

 

外がまぶしい・・・・さあ外気を吸いに、と思わず踏み出してしまいそうになります。来館者はなおさらです。子供なら、ばッと飛び出しかねません。

ところが、ここには本扉の分厚いガラスがあるのです。でも、まったくそれがわかりません。とても危険です。

 

そこで、ガラス暖簾の登場です。

    長さ180㎝、幅80㎝。 750g。  25本。

緑、透明の小さなガラス管(径 3㎜、長 7㎜)が、紐で繋がっています。

 

これを、ガラス戸の前に掛ければ・・

人は、必ずこの前で止まります。

しかも軽いので、かき分けて戸を開ければOK。

暖簾越しの景色もいいものです(^.^)

 

故玩館には、もう一つ、思わぬところに危険が潜んでいました。

2階の端、ここは私の専用スペースです(^.^)が、

興味をもって、さらに奥へと進む来館者もいます。

 

左側から見たところ。

右側から見たところ。

2階の北端に位置するので、屋根がぐっと下がってきて、狭くなっています。

ですから、定位置で鼓でも打とうかと進むと、低い位置にある柱に頭をぶつけてしまいます。あるいは、サルやキツネとゴッツンコ(^^; 私だけでなく、来館者も。

そこで登場するのがこれです。

長さ46㎝、幅68㎝。 340g。  41本。

 

小型のガラス暖簾です。

 

緑、透明、ベッコウ色のガラス管が、青色ビーズ玉で挟まれて繋がっています。

ガラス管(径3㎜、長70㎜)、青ビーズ玉(3㎜弱)。

 

これをサル面、キツネ面の間に垂らせばOK.

これがあれば、誘導されるように頭が下がり、座布団の上で正座することになります(^.^)

これで痛い目に合わずにすみます。サルとキツネは守り神(^.^)

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ガラス6 ニッキ瓶

2020年08月27日 | ガラス

清涼飲料水をいれた瓶です。

通称、ニッキ瓶。

肉桂水を入れて売られることが多かったため、この名がついています。

         高 21.6㎝、幅 10.2㎝。

昔、東北地方を旅した時、例によって骨董屋さん巡りをしたのですが、なかなかこれといった品がありませんでした。これは!と思う品物にはべらぼうな値がついていた、諦めかけていた時、ある店の隅に転がっていたのを、旅の記念にと求めたものです。

 

非常に多くの大小気泡が見られます。かげにも写っているほどです。

 

写真でははっきりとしませんが、口元右端から肩、そして底へと凸線があります。反対側にも、同様の凸線がもう一本。

これは、ガラス瓶を製造した時の型の跡です。

表面はデコデコしています。ところが、口から内部を触って見ると、非常に滑らかなのです。吹いて造られたガラスです。

という事は、このニッキ瓶は、型吹きガラス製法で作られている?

気泡の様子をよく観察すると・・・

底の方は丸い気泡がほとんどです。

 

中ほどになると、細長い気泡が多くみられます。

 

口元へ行くにしたがい、流れるような気泡になります。

これは、型吹きガラスを示しています。

吹き竿の先に巻き取った種ガラスを、型(石膏など)の底につけ、型の上部までガラスを吹きあげます。この時の加速度が、気泡の形になって表れているのです。また、出来上がった容器の外側には、型の凸凹がそのまま表れます。内側は、中空ですからツルツルです。

口元の処理も、かなりいい加減。古拙の味わいです(^^;

ニッキ瓶の多くは、形がほっそりした昭和初期あたりの品が多いのですが、この品はボリュームのある瓢形です。

もう少し時代が遡るのではないかと思っています(^.^)

 

かつて訪れた奈良公園前の老舗店骨董屋さんに、この形のニッキ瓶が土間の柱にかかっていて、花が添えられていたのを思い出しました。

二番煎じですが、庭の花をいれてみました(^.^)

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ガラス5 ガラスビーズ簾

2020年08月25日 | ガラス

ガラスビーズでできた、大きな簾です。

   長さ174㎝、幅84㎝。 明治~戦前。

故玩館の玄関を入った所にあります。

内側からみた様子。

ビーズの組合せで、簡単な矢羽根模様が作られています。

 

99本のビーズ糸が、横に並んでいます。

素材がガラスですから、非常に重く、6㎏もあります。

ざっと数えたところ、使われているビーズ玉は36000個余り。

フックに吊り下げたのでは、重みで落ちる可能性があるので、上部の板を、梁と梁との間にギュッと入れ込んであります(^^;

 

 

ところどころ、糸が切れて、繋ぎなおしてあります(^^;

 

ですから、下部の長さも不ぞろい。

 

単純な模様なので、ビーズの組合せも単純です。

先に紹介した、明治ガラスビーズ風竿より、使われているビーズの透明度は少し高いです。

 

 

バラバラになってこぼれ落ちたビーズです。

ややドーナッツ形、大きさ、形にばらつきがあります。径は4㎜位です。団子状にくっついたままのビーズもあります。

 

 

同じようなビーズ簾がもう一個ありました。

こうやってまるめておき、夏場、2階の展示室の間に吊るします。

今年も、季節がやってきました。

長さ175㎝、幅74㎝。 明治~戦前。

こちらは5㎏、やはり重いです。

 

 

 

 

ピンクや朱なども含め、上の簾より多彩な色使いです。

写真のように、色ビーズをランダムに配するのは、案外難しいと思います。

 

簾があれば、物が散らかっていても、めだちません(^.^)

 

 

 

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ガラス4 銅赤切子皿

2020年08月23日 | ガラス

銅赤ガラスの切子皿です。

ガラスの赤色は、主に、銅によるものと金によるものがあります。

ルビー色の金赤に対して、銅赤は少しにぶい赤色です。

一般の品には、銅赤が多く使われています。

 

     径 16.0㎝、高 3.3㎝。  昭和。

 

6枚とも、同じ大きさ、同じ模様なのですが、色合い、特に赤の濃さが微妙に異なります。

透明ガラスの上に、銅赤ガラスを被せる時、厚さが少しずつ変わるのでしょう。

 

切子は、裏側に施されています。

 

 

職人の技には感心させられます。

ちなみに、大橋巨泉の祖父、大橋徳松は腕の立つ切子職人でした。

 

金赤ガラスに比べて、地味な銅赤ガラスですが、光をひろってみると、切子の和模様が、控えめな赤とマッチしていることがわかります。

故玩館の食器の中では、夏に出番の多い皿です。

 

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