遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

菱田海鷗書『守静』

2020年03月31日 | コロナに負けるな

コロナに負けるなシリーズ、14回目です。

今回は書です。

 

 

 

筆者は、菱田海鷗です。

といっても、御存知ない方がほとんどだと思います。

地元でも、あまり知られてはいません(^^;)

菱田海鷗:天保7(1836)年 - 明治28(1895)年、大垣藩士、漢詩人。安積艮斎門。幕末、大垣藩家老小原鉄心の腹心として活躍。維新後は、裁判官、青森県権令などを歴任。

西美濃地方の中心地、大垣は、古くから地政学上重要な場所であり、日本の命運を左右するような時期には、この地が大きく関係してきました。幕末の騒乱の中でも、大垣藩は微妙な位置にあり、藩は幕府側、新政府側をめぐって真っ二つに割れていました。勤王志士たちとも交流があった家老、小原鉄心は、新政府側へと藩論をまとめようと腐心しました。そんな中で、鳥羽伏見の戦いが始まり、幕府方として参戦していた大垣藩兵に対して、新政府側を攻撃しないよう説得するため、菱田海鷗を京都へ派遣したのです。しかし、海鷗は、途中、長州藩士に捕らえられてしまい、斬首されることになりました。その時、海鷗は落ち着いた様子で一編の詩を書きました。「将屠腹自胎」屠腹の詩)といわれる七絶です。それを読んだ長州隊長、石部誠中は感服し、菱田は斬首を免れました。

「将屠腹自胎」

苦学欲酬君父恩
一灯空伴卅餘年
従容就死是今夕
只恨丹心未徹天

苦学 酬いんと欲す 君父の恩    
一灯 空しく伴ふ 卅餘年
従容として 死に就くは 是れ今夕
只だ恨む 丹心 未だ天に徹らざるを 

 

掛軸の書『守静』は、この出来事の翌年、明治2年の作です。

『守静』は、老子の言葉、「致虚極、守静篤、萬物竝作、吾以観其復。」の一部です。

「虚を致すこと極まり、静を守ること篤ければ、萬物並び作るも、吾以ってその復るを観る。」

無心で平静な心で暮らしをなしていれば、いろんな事が生じても、あらゆる事柄の根源が認識できる、という教えです。

「守静」は、(心を虚にして)静かな生活を保つことを表しています。

 

押し詰まったような雰囲気が、日に日に強くなっています。その中で、物事の根源が見えにくくなり、自分を失いがちになることしばしばです。

今日からは、「守静」を心がけて毎日を送り、見えない敵、コロナに向かいたいと思います。

 

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

題名を待つピエロ

2020年03月29日 | コロナに負けるな

コロナに負けるなシリーズ、第13弾です。

今回は、絵画。

洋画家、松井豊の作品です。有名な作家ではありませんが、幻想的な表現が特徴です。

  松井豊『〇〇・・〇〇』   10号

 

この絵には、題がついていません(裏側も無記名)。

ご覧になって、これはと思う題名をつけて下さい。

ちなみに、同作者の別のピエロの絵には、『憩い』とありました。

 

 

 

 

 

絵画に下手な解説は無用です(^^;)

自分が感じるままに味わえばいいのですよね。

私の場合は、自分の内面を見ているような気がしました、特にコロナ禍の今は。

そこで、つけたタイトルは、

『夢現 ~飛翔の時のために~』。

 

皆さんは,いかがですか?

 

 

松井豊    1929- 福岡県生。 1954~60年、南米コロンビアにて油絵を学ぶ。 1964年、主体美術協会創立に参加。1971年、現代の幻想絵画展、 1972年、文化庁主催、現代美術選抜展、1975年、サンパウロ美術館での現代日本美術展に出品。 

 

ps. この品も、家人には、「気持ち悪い」「汚い」と不評をかい、粗大ゴミ一歩手前の位置にあります(^^;)

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

祈る裸男

2020年03月27日 | コロナに負けるな

コロナウイルスに負けないぞシリーズ、12回目です。

ここしばらく、外国物の手を借りてのブログでしたので、今回こそはと信じたいのですが、如何せん、無国籍(産地不明)の木彫です。籔内佐斗司風にも見えますが、どこの、誰の作品かわかりません。

 

       高 36.8㎝ x  幅 23.7㎝ x 奥 9.5cm

鉢巻きをしている男ですね。

なかなか意思が堅そう。

 

 

親指を立て、合わせていますすが、何か意味があるのでしょうか?

 

どうやら、裸の様です(^^;)

 

後ろ姿は、静かなたたずまい。

 

頭には巻いているのは、やはり鉢巻きでしょう。

 

下の方を見て納得!

正座をしています。

ということは、この木彫男は日本製。

しかも、祈っているのですね。

 

うーん、それにしても大胆な姿。

 

後ろ姿は滑稽(^.^)

本人はいたってまじめなのでしょうが。

 

裸で鉢巻きをしめ、正座する男・・・・大胆にして実直、しかも滑稽な姿での祈りが、コロナウイルスのような得体のしれない相手には有効なのかもしれません。

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国の玉剣

2020年03月25日 | コロナに負けるな

コロナウイルスに負けるなシリーズ、11回目です。

今回も、外国物。中国の古玉です。

玉は、古くから、中国で貴ばれた石彫です。様々な素材が使われましたが、主は翡翠です。先回のマオリのポウナムと同じく軟玉ですが、緑色のポウナムとは異なり、玉の色調はいろいろです。

中国では、玉、青銅器、陶磁器、書、画の5つが代表的な文物です。日本文化はこれら中国文物の影響を強く受けましたが、なぜか玉だけはほとんど受け入れられませんでした。

日本人にとって、玉は遠い存在です。玉について、日本語の参考資料はほとんどありません。もちろん、時代や値段の手引きとなる情報も。

骨董屋で、玉をみかけることは稀です。骨董市で、中国品ばかりをそろえた怪しげなブースにはありますが(^^;)

ところが、何年か前、田舎の骨董屋に、古玉がどっと出ました。中国人実業家で財をなし、後に帰化した人が残した品だとのこと。

店主にとって玉を扱うのは初めてのことですから、値段のつけ方は全くいいかげんです。

こちらも購入の判断、皆目見当がつきません。当てずっぽうで大小いくつかの玉を入手しました(^^;)

そのうちで、最大の物がこれ、玉剣です。

        18.5㎝x41㎝、 重さ1.35㎏

正確な年代は不明ですが、かなりの古格があります。

 

 

 

2匹の飛竜が堂々と彫られています。

欠けた部分も年代を感じます。

 

 

 

裏面です。

 

古い時代の文字が彫られていますが、読めません(^^;)

 

 

中国では、玉は、仁、義、智、 勇、絜の5徳を高めると言われています。

ならば、マオリのポウナムを首に、インドの盾Dahlと中国の玉剣を両手にもてば、これぞ最強の装備、コロナも退散(^.^)

 

 

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マオリのポウナム

2020年03月22日 | コロナに負けるな

コロナウイルスに負けるなシリーズ、10回目です。

前回、ニュージーランド先住民マオリの木彫テコテコを紹介し、家内の守護を託しました。

今回は、マオリのポウナム(Pounamu)です。

ポウナムは、マオリの伝統的石彫物です。マオリの装身具ですが、特別な意味をもち、大切にされてきました。

それは、ポウナムには、マオリにとって最も大切な価値であるマナ(Mana、威信)が宿っていると信じられているからです。マナは、金や物などではなく、目に見えない価値、日本の徳や品格のようなものです。

しかも、ポウナムの持ち主が、代わっていけばいくほど、マナが増すと言われています。したがって、何代にもわたって受けつがれてきたポウナムは、大きなマナを秘めている訳です。

ですから、自分で買うよりも、人からプレゼントしてもらう方が、有難みが増すことになります。

ポウナムは翡翠です。翡翠には、硬軟2種類ありますが、ポウナムは軟玉です。ニュージーランド南島の産で、街のショップでは、いろいろな形状のポウナムを売っています。

コル(Koru、シダ)の形のポウラム(4㎝)です。マオリの友人からプレゼントされた物です。

コルは、シダの新芽です。マオリにとって、コルは、平和、新生、成長、強さを象徴しています。らせん状の新芽は、永遠の運動、生命をも表しています。このデザインは、マオリの工芸品や芸術作品に数多くみられます。

                         

マオリの友人夫妻と共にマオリ王誕生日記念会に出席した時のスナップです。この時、上のポウナムをいただきました。

マオリの習慣は、日本と似ています。礼を尽くして友人をもてなし、贈物の交換を行います。私が持っていくのは、当然、骨董。若い国ですから、明治以降のビンテージ物でも、喜ばれます。

このポウナムを身につけれけば、徳が増し、私の内なる生命力がコロナウイルスを撃退してくれることでしょう。

 

・・・・・・と、ここで問題が・・・・・マオリには、もう一つ、独特の習慣があります。ホンギ(Hongi)と呼ばれる挨拶です。二人が、額と鼻をつき合わせ、生命の息吹を分け合うのです。

街中でこの挨拶を見ることはありませんが、重要な儀式や正式の歓迎会には、ホンギが必須です。私も、マオリの友人たちと再会した時には、ホンギをします。

でも、コロナウイルスには、かなりのリスク有り。しばらくは、訪問を見合わせることにしましょう。

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする