ゴールデン・ウイーク期間中に旅行する現象を”民族の大移動”とはよく言ったものだ。
1年中で一番高コストにも拘らず、国内はもとより、海外へ出かける人が昨年よりも多いとなると、本当に生活が苦しいのかといぶかしくなる。家計費が苦しくなれば、真っ先に小遣いやレジャー費用にしわ寄せが来るのが常識だ。所得格差拡大が取りざたされ、ガソリン代の値上げや酒税のアップが追い討ちをかけているだけになおさらだ。
日頃、切り詰めた生活をしているから、せめてまとまった休暇がとれるこの時期に贅沢をしたいという向きもあろうが、私には解せない価値観の一つである。人・ひと・ヒトの雑踏にもまれるのが嫌な性分だから、結婚以来、ゴールデン・ウイークや年末始の家族旅行はしたことがない。
在京時代、GWや正月には帰郷せず、いつもより空気が澄んでいると感じる都内を家族揃って歩き回っていた。一方、平日に学校を休ませて家族旅行をしたこともある。我が家の教育方針に基づいてのことだ。子供は登校拒否症にもならなかったし、他人に迷惑をかけることもなく、立派に成人している。
と、安心していたら、長女が急遽、2泊3日で金沢へ来るとの連絡が入った。続いて、次女がクライストチャーチから一時帰国するという。何もこの時期でなくてもと思ったり、やっぱり帰る所があるのは良いことなのかなぁと複雑な思いをしている。