政府の少子化対策をみていると、お金の援助ばかりが目につく。 児童手当の拡充や3歳児までを対象にした乳幼児手当て、或いは、税制面での優遇策等、相も変わらずお金をベースにした案ばかり。
ある自治体では、家で朝食を食べずに登校した生徒に、学校で朝食を提供する施策を始めた。勿論、無料でだ。曰く、「子供は将来を担う国の宝。無駄遣いだとは思っていない」と。某国会議員は、「食育の観点からも好ましい」と持ち上げる始末。無料で朝食を出してくれるのであれば、母親は朝早くから食事の準備をしようとは思わなくなるだろう。
むかしは、修学旅行に行けない児童も多かったが、今では海外旅行も珍しく無い。ある国で、日本から修学旅行でやってきた高校生が家族から頼まれた品物を物色しているのに出会った。両手に抱えきれなくなったみやげ物を、宅配便で送るのだと聞き愕然とした。本人は、手間賃を貰うからどうってことないと平然としていた。親が修学旅行の域を逸脱することを教えているのだ。児童手当を充実したところで、教育費に充当せず消費に回るのが現実だと実感した。
ひょっとして、政府は少子化対策と称して財政支出し、経済の活性化を狙っているのではとさえ思えてくる。何よりも不思議なのは、国家財政が逼迫していると言いながら、お金を柱とした対策ばかり並べ立てるセンスだ。経済的に困っている層は極めて限定されている筈だから、本当に困っている人たちを対象にピンポイントで手を差し伸べるのが適切な政策だ。