厚生労働省が初めて行った「中高年者縦断調査」。その結果は、50代の7割が60歳以降も仕事を続けたいという私には理解出来ない価値観だが、日本人は働くのが生きがいの民族なのだろう。
同省は、毎年、同じ人を追跡調査し、変化の過程を観察して高齢者施策に反映させるという。それはそれで構わないが、よほどセンサーが錆び付いているらしい。とっくに超高齢化社会に突入し、世界一長寿国になった日本が他国に先駆けて検討しなければいけなかった問題を、今頃になって調査分析するのでは余りにも情けない。
さて、マクロ人口の推計はそう狂うものではない。政府の試算でも民間のシンクタンクでも、2050年には総人口が1億人を少し超える程度だ。これは、どういう少子化対策をうっても人口が減少することは避けられないことを意味する。現在の人口が向う50年間で2700~2800万人の規模で減少するのを認めれば、違う道が見える。
政府が検討すべきことは、右肩上がりの経済成長に固執せず、▲3000万人の社会環境の変化に合わせたビジネス・モデルを構築する思考回路だ。そのことが、国民にとって一番幸せな生活環境を提供する「構造改革」になることに気付いて欲しいものだ。