★東京五輪のレガシー（前編）：共生

　7月23日のオリンピック開幕から、9月5日のパラリンピック閉幕までの約1カ月半で、多くの教訓を学んだ気がする。

　新型コロナは、商業主義の限界を見せつけ、IOCや大会運営のあり方、企業スポンサーの販促費用や放映権料等々、根本的な問題を投げかけた。

　しかし、経済的な側面を抜きにすれば、我々に、スポーツの新たな価値を発見させた。

　1964年東京大会では、日本人の国際感覚を変えた。そして、2020年大会は、基本コンセプトの一つである「多様性と調和」が具現化し、本格的な「共生社会」の到来を予感させた。

　「多様性」は、国籍や人種、性別、障害の有無などの違いを個性として尊重すれば、「調和」を生む。
「偏見・差別⇒調和⇒共生」へと大転換するトリガーになれば、投下した費用も無駄にはならない。

　コロナ災禍での開催で、内閣支持率が急降下し、窮地に追い込まれた菅総理が残した、貴重で大きな遺産と考えれば、その芽を摘んではいけない。