主張していますが、同社が発行する「夕刊フジ」では、「菅首相には
やはり日本の行く末は任せられない」と、TPPに疑問を呈する記事を
掲載しています。
ZAKZAK
2011.02.15
分かったようでよく分からないのが「第3の開国」なるスローガン。
菅直人首相(64)は政策の柱として、6月をめどに環太平洋連携協定
(TPP)の交渉参加の是非を判断する方針を明言している。しかし
TPPをよく調べてみると、実は誤解やゆがめられた認識だらけなのだ。
1.TPPで成長? 菅首相はTPPが経済成長につながると主張して
いるが、本当にそうだろうか。
昨年10月に政府がTPPに関する経済効果を試算したが、内閣府は
実質GDPが0・48~0・65%増加するとし、農水省は農業など
への悪影響をGDPの1・6%(7・9兆円)程度とする。
経産省は不参加の場合に実質GDPが1・53%減少するなど
各省庁の思惑丸出しでバラバラの結果となった。「やってみなければ
分からない」と解釈するのが自然だ。
2.農業問題? 株式市場では「TPP銘柄」なるものがもてはや
されている。具体的には東洋精糖、倉庫のヤマタネ、あるいは穀物
関連のETF(指数連動型上場投信)など、農業関連銘柄が急騰した。
しかし、それらの企業がTPPによって恩恵を受けると考えるのは
無理があると市場関係者は指摘する。
「TPPによって穀物価格が上昇するなどという考え方はムチャクチャ。
株高は国際的に穀物関連の商品価格が急騰したことに起因していると
考えた方が妥当」(国内証券アナリスト)
TPPでは国内農業が最大の問題とされている。先ほどの農水省の
試算をうのみにすると悪影響が出るのは確かだ。しかし、わが国の
農林水産業は名目GDPの1・5%程度に過ぎず、農業問題だけを
クローズアップすると全体像を見誤る。
3.唯一の選択肢? そもそも貿易協定はTPPしか選択肢が
ないのか? 実は内閣府の試算では日中EPA(経済連携協定)でも
TPPと同等の経済効果が期待できるとしている。そしてTPPに中国や
ブラジルやインドなど代表的な新興国はエントリーしていない。
問題は米国主導である点だ。オバマ米大統領は一般教書演説で
「アメリカを地球上で最もビジネスに適した場所にしなければならい」
との姿勢を強く打ち出した。
「米国は日本がTPPに参加する条件の一つとして、簡保の加入限度額
引き上げなど日本郵政事業の見直しや自由化を求めている。本来、郵政
事業を民営化していない米国に言われる問題ではないが、もしこの要求
をのめば、郵貯や簡保の資産が米国に根こそぎ持っていかれかねない」
(金融業界関係者)
菅首相にはやはり日本の行く末は任せられない。