1950年代のニューヨーク郊外のリゾート地、コニーアイランドを舞台に、息詰まる女と男のすれ違いをウディ・アレン監督が、ケイト・ウィンスレットをヒロインに描く、出口のない泥沼映画。
元女優のジニーはリゾートレストランのウェイトレス、ビーチの監視員をしている演劇志望の青年ミッキーと不倫中。
日々、「こんなはずじゃない、私の場所はここじゃない」と葛藤している。
ジニーの連れ子の少年リッチーは火遊び好きで、母親を困らせる。
再婚相手の夫ハンプティは気はいいのだが、時々義理の息子に暴力をふるう、粗野な一面を持っている。
自宅は見世物小屋の跡を改装した、外から部屋が丸見えのおんぼろ屋。窓からは遊園地の観覧車が見える。
そんな3人家族のところへ、絶縁したはずの娘キャロライナが父親ハンプトンを頼ってやって来る。
ギャングと結婚したものの不仲になり、警察に情報をタレこんだことからギャングに追われる羽目になったと。
「父親とは絶縁状態だからここまで追ってくるはずがない!」
激怒したはずの父親はいつの間にか、夜学の費用も与えて、娘を許し、将来を応援し始める。
人間関係が密な狭い地域での出会いは当然、若いミッキーとキャロライナにも訪れる。
キャロライナから無邪気にミッキーとの出会いを打ち明けられ、相談を持ち掛けられるジニー。
義理とはいえ、母親の立場でもあるジニーは嫉妬に苦しむことに。
ジニーはますます居心地の悪い思いを募らせ・・・・・・・。
公衆電話をかけるジニーの「義母の立場と若い燕を奪われたくない」葛藤シーンの静かな演技の見事さ。
ラスト近く、かつての舞台衣装をまとい入念にメイクもし、苛立ちと嫉妬の情念をぐ容赦なくえぐりだしてくる。
とてつもない長台詞にのせて。
ウィンスレットのすごい迫力!!!憑依している!
その日、京都は猛暑の記録を更新する勢いだったが、ケイトの演技に、背筋が寒くなる思いがした。
ケイト・ウィンスレットの大ファン故、この作品を見つけた時はうれしかった。ウィンスレット久々の主演作品。監督からの熱烈オファーがあったとか。
ウディ・アレン監督、名前はあまりにも有名だけれど、難解な作品が多いかと敬遠していた。
でも、「ブルー・ジャスミン」や、「それでも恋するバルセロナ」などを見ていたことに気づく。
しかも「ブルー・ジャスミン」は大好きな作品・・・・・食わずきらいはやめよう。
ところで、同じ「ケイト」の名を持つブランシェット。私はこの二人のケイトが大好き。
「ブルー・ジャスミン」でブランシェットはアカデミー賞の女優賞を得たが、同じ様に精神を病んだ女性の役を熱演。
ジャスミンにはどこか明るさがあったが、ウィンスレット演じるジニーの閉塞感はたまらない。
ブランシェットに比して、やさぐれた感じを出すのはうまい❗
かつて、「レボリューショナル・ロード」もそうだった。
デビュー当時の「ハムレット」のオフィーリアの狂気も凄かった。
あの「ルネッサンス美人」体型がなんとも色っぽくて、共感してる!?
だから好き?
そういう訳でもないんだけど🎵
たまにははじける笑顔のウィンスレットも見たくなる(笑)
「ホリデイ」がいいかしら。「ある晴れた日に」も可愛かったなあ。
50年代の軽快なジャズがストーリーの重々しさに押しつぶされそうなのを救ってくれる。
照明が何ともオシャレ。ケイトにあてられる色合いと、若いキャロライナでは色調が違っているのも面白かった。
リゾート地で働く女性たちの、今ある階層を表すファッションも見ごたえあり。
ウディ・アレン監督、80歳を超えたそうだが、意気軒高なのが頼もしい。
もうちょっと作品を探ってみよう。
(アロママ)
原題:WONDER WHEEL
監督、脚本:ウディ・アレン
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
出演:ケイト・ウィンスレット、ジム・ベルーシ、ジャスティン・ティンバレイク、ジュノー・テンプル他
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます