シネマ見どころ

映画のおもしろさを広くみなさんに知って頂き、少しでも多くの方々に映画館へ足を運んで頂こうという趣旨で立ち上げました。

「ヒット・マン」(2023年 アメリカ映画)

2024年10月02日 | 映画の感想・批評
 1990年代に偽の殺し屋として警察のおとり捜査に協力していた大学教授の実話をベースにした作品。偽の殺し屋と大学教授のアンバランスさに興味をもった。
 おとり捜査のスタートは、急遽の代役だったが、本来の担当者より逮捕に繋がるケースが増え、自分も楽しくなってきて、のめり込んでいくゲイリー(グレン・パウエル)だが、ある時、美しき人妻マディソン(アドリア・アルホナ)と、夫を殺してほしいとの依頼で出会うことになる。一目惚れしてしまったゲイリーは、職務に違反して、逮捕に結びつかないようにして、逃がしてしまう。それを薄々見抜いていた本来の担当者が、少しずつ追い詰めていく。そこから、秘密裡に恋愛関係を深めながらも、職務に忠実な自分を保つ為、取り繕いに取り繕いを重ねることで、歯車が狂い出していく。
 監督は「6才のボクが、大人になるまで。」のリチャード・リンクレーター。とても良かった作品なので、期待して観た。とても面白かった。前作と同様に、自らの「変化」を自ら実感し、それを楽しむ(受け入れる)実感が伝わる。ゲイリーは、二足の草鞋を履くことで、本来の自分を律していたのだろうか。自らの原点はどこにあるのか。自分は何者なのか。どこに向かおうとしているのか。日々、悩んでいたのではないか。そんな自分を取り戻すきっかけは、マディソンだったのではないだろうか。劇中は、ハラハラドキドキの連続。追い込まれて、もう終わりか・・・と思ったら、奇跡的に復活。ジェットコースター並みで飽きることはなかった。ただ、ラストのオチは唐突に思えた。私は、ラストは、二人は逮捕され、服役後一緒に過ごすシーンがあるのではと思ったが、違った。ただ、映像にはなっていないが、本当は、実はまだ先があった、もしくは、その先は、観客に考えてほしいとのメッセージだったのではないかと思う。そんなエンドシーンであった。
 グレン・パウエルの変装も見物。こんな人いる!見たことある!依頼人に合わせて七変化。あの形相で現れると依頼人は間違いないと信じてしまうだろう。劇場でも、余りにもしっくりとした変装で、「分かる!」と感嘆な声が起こっていた。グレン・パウエルは初見だったが、脚本も担当しており、演技も含め本作に掛ける意気込みを感じた。相手役のアドリア・アルホナも初見だが今後の作品も観てみたい。
(kenya)

原題:Hit Man
監督:リチャード・リンクレーター
脚本:リチャード・リンクレーター・グレン・パウエル
撮影:シェーン・F・ケリー
出演:グレン・パウエル、アドリア・アルホナ、オースティン・アメリオ、レタ、サンジャイ・ラオ、モリー・バーナード、エバン・ホルツマン、グラレン・ブライアント・バンクス


最新の画像もっと見る

コメントを投稿