当医療圏において、昨年まで分娩を取り扱っていた施設は計6施設でしたが、昨年秋から今年の春にかけて、3施設で分娩取り扱いを中止し、今年の4月からは分娩取り扱い施設は計3施設に半減してしまいました。
そこで、今年に入ってから、地域の開業の先生方と中核病院の産科(当科)が連携して地域の分娩を担う、『産科セミオープンシステム』を実施し始めました。当科の分娩件数は、予想通り昨年までの実績の倍以上となっています(分娩件数:月80~100件)が、この『地域連携システム』などがうまく稼動し、今のところ特に大きな問題もなく、平穏無事に日常診療をこなしています。
今のところ、分娩制限は一切実施してません。帰省分娩もすべて受け入れていますし、この地域からはまだ『お産難民』は一人も出してません。当科に要請のあった救急母体搬送は当科で100%受け入れています。
全国的にますます厳しくなりつつある周産期医療の状況をみていると、今後、周産期医療の集約化がすすみ、産科医療圏が現状よりも拡大してゆく可能性があります。地域の協力体制をさらに強化して、今後の状況の変化にうまく対応してゆく必要があると考えています。
産科セミオープンシステム 妊婦健診は地域の開業医、分娩は病院という“分業”でお産を担う。開業医のもとで妊娠の診断が下ると、開業医が分娩の予約を入れる。病院で妊娠がわかった場合は、妊婦の自宅近くの開業医を紹介する。欧米では定着しているが、国内ではまだ約40の地域でしか実施されていない。同様の仕組みにオープンシステムがあり、開業医が拠点病院に行き設備を利用してお産を受け持つ。