ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

昭和伊南総合病院:来年度から分娩休止 駒ケ根市会、医師確保請願を採択/長野 (毎日新聞)

2007年09月16日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

今週の読売ウィークリー(2007.9.30)の記事(全国で〝お産難民〟50万人へ)を読むと、神奈川県では、現時点で、横浜・横須賀などを中心に「お産難民」が年間約900人発生していて、このままだと5年後に5888人、10年後に8412人の「お産難民」が発生する計算になるらしいです。

都会でも田舎でも、産科医療の状況はますます悪化しています。地域で助け合い、連携・協力して、この危機的状況を乗り切っていく必要があります。また、近隣の医療圏との緊密な協力関係を構築することも非常に大切だと思います。

産科医や助産師は、日本全国どこでも不足して困っているわけですから、根本的には、地道に若手医師や若手助産師を育成して、将来、産科医療に中心的に携わって大活躍してくれる仲間を少しづつ増やしていくしかないと思います。

****** 毎日新聞、9月15日

昭和伊南総合病院:来年度から分娩休止 駒ケ根市会、医師確保請願を採択 /長野

 年間約500件の出産を扱う昭和伊南総合病院(駒ケ根市)はこのほど、来年4月から分娩(ぶんべん)受け入れを休止することを公表した。同病院に医師を派遣している信州大が医師を引き揚げるためで、人口約5万人の伊南地域から分娩ができる施設がなくなることになった。この事態を受け、駒ケ根市の住民らは今月上旬、医師確保を求める請願書を同市議会に提出。同市など周辺4市町村の議会も県に対策を求める意見書を採択するなど、お産の場を守ろうとする動きが活発化している。【神崎修一】

 「お産に不安を抱く人が多い」「奈良県の病院であったような受け入れ拒否も人ごとではない」。14日行われた駒ケ根市議会の一般質問。議員からは地元から分娩施設がなくなることを危ぐする声が相次いだ。中原正純市長は「子どもを育てようとする人たちに大きな不安をもたらす結果となり、深刻に受け止めている」と答弁。今後の対策については「伊那中央病院(伊那市)に医師を増員してもらうよう県に要望していきたい」と話すにとどまった。

 ◇強化指定はずれ、信大が引き揚げ

 医師不足の深刻化を受け、県の産科・小児科医療対策検討会は今年3月、医療資源の集約化、重点化の必要性を提言。各医療圏の中心病院を重点化対象の「連携強化病院」に指定した。上伊那地域では伊那中央病院が連携強化病院に指定され、昭和伊南総合病院はその他の「連携病院」とされた。これを受けて信州大は「医療の質を保つため」などとして同病院からの医師2人の引き揚げを通知していた。

 来年度以降は駒ケ根から10キロ以上離れた伊那中央病院が上伊那地域のお産を担うことになる。昭和伊南総合病院の倉田晋司総務課長は「医師確保に動いたが、うまく行かなかった」と話す。

 ◇「動かないと間に合わない」

 同市議会初日の4日、子育て支援団体代表の須田秀枝さん(46)らは、産科医確保を求める請願書を議会に提出し採択された。請願書では「このままでは駒ケ根市を中心に“お産難民”が100人は出る。集中化だけ行われると、あってはならない事故にもつながる」と指摘。須田さんは「ここで動かないと間に合わない。議会を通じて私たちの思いを伝えたかった」と説明する。須田さんらが今月5日に同市内で開いた勉強会には約150人が参加。市民の関心も高まっている。

 駒ケ根市など周辺4市町村議会は14日までに、県に対し医師確保を求める意見書を可決。今月中にも村井仁知事に陳情を行うという。10日の飯島町議会では、子どもを連れた母親などが熱心に傍聴する姿が見られた。同町の主婦、下平まち子さん(59)は「みんな心配している。自分たちの問題として取り上げてもらえるよう、子育てサークルなどにも働きかけたい」と話していた。

(毎日新聞、2007年9月15日)

****** 信濃毎日新聞、2007年9月15日

県が臨床研修病院を緊急支援 医師不足対策で

 村井知事は14日の記者会見で、医師不足の緊急対策事業として、研修医を受け入れる県内病院への補助制度を新設すると明らかにした。病院の研修態勢を整えることで、大都市圏に集中しがちな研修医を県内に呼び込む狙い。9月県会に提出する本年度一般会計補正予算案に、関係費用2700万円余を盛り込む。

 補助制度は、医師の臨床研修を受け入れる県内の病院(国立、県立を除く)が対象。研修医募集の広報活動や病院の研修プログラム充実、研修医の学会などへの参加経費、研修医宿舎の借り上げ経費など、受け入れ態勢の整備に対し、1病院当たり年100万円を上限に補助する。

 さらに、専門研修(後期研修)1年目の研修医を受け入れる病院については、1病院10人を上限に1人当たり15万円を上乗せする。いずれも2009年度までの時限的な事業とする。

 地方で深刻化している医師不足は、04年の新臨床研修制度の導入で、自由に研修先を選べるようになった研修医が都市部に流れていることがあるとされる。

 会見で知事は「2年の初期研修を終え後期研修に入った医師は一人前。後期研修医を増やすことは、不足する医師を増やすのと同じ価値がある」と説明。県は、既に制度化している医学生への修学資金援助や、県外から県内に就職する産科、小児科、麻酔科医を対象にした研究資金貸与制度と合わせ、県内への医師定着につなげていきたい考えだ。

(信濃毎日新聞、2007年9月15日)

****** 毎日新聞、2007年9月15日

医師不足:医師確保へ補助金 県、補正案に2785万円盛る /長野

 県は14日、県内の医師確保を目的とした補助金制度「臨床研修病院緊急支援事業補助金」の新設を明らかにした。同日の知事会見で発表した。補正予算案に2785万円を盛り込み、9月定例議会で認められれば今年度から3年間実施する。

 同制度は医師不足で悩む県内病院に研修医を呼び込み、医師確保につなげるための環境整備事業支援として実施する。対象になるのは研修医を受け入れている臨床研修病院(国立と県立を除く)。広報宣伝や研修医の学会参加費、図書購入などの経費に対して100万円を補助し、後期研修1年目の研修医1人当たり15万円(上限10人)を病院に支給する。

 県医療政策課によると、県内で研修医を受け入れている病院は28病院。村井仁知事は「医師からも研修医を受け入れる環境を整えてほしいとする指摘があった。医師確保のためにはなりふりかまわずやると言ったが、今回はその一端だ」と話した。【藤原章博】

(毎日新聞、2007年9月15日)