長野県の伊那谷地域(上伊那地方+飯田下伊那地方)では、地域全体で年間におよそ三千件程度の分娩があります。この地域では、長年にわたり多くの分娩を取り扱ってきた施設(平岩ウイメンズクリニック、西沢病院、下伊那赤十字病院、昭和伊南総合病院など)が次々に分娩取り扱いを中止し、最近のわずか1~2年の間に分娩施設が激減してしまいました。
万一、この地域から大量の〝お産難民〟が発生するような事態となった場合には、近隣医療圏でその受け皿を見つけるのは非常に困難です。
この伊那谷地域は、一応、行政的には上伊那医療圏と飯田下伊那医療圏とに別れてはいますが、どちらか一方の医療圏の産科医療が崩壊すれば、他方の医療圏の産科医療にも壊滅的な影響が及ぶことは必至です。
今後、伊那谷から大量の〝お産難民〟を出さないようにするためにも、従来の医療圏の枠を超えて、両医療圏が緊密に連携・協力していく必要があると思います。
****** 朝日新聞、長野、2008年2月14日
伊那中央病院 産科医1人増 4月から信大派遣
上伊那地域の産婦人科の連携強化病院に位置づけられる伊那中央病院(伊那市)に、常勤の助成産科医1人が4月1日付で着任する。信州大の医局人事で、来月限りで常勤産科医が引き揚げる昭和伊南総合病院(駒ヶ根市)から転属される。
(中略)
伊那中央は現在、常勤産科医4人で年千件の分娩を扱っている。これで4月から5人体制になるが、昭和伊南が扱っていた分娩も加わるので、分娩室の増設や外来診療棟の増築に着手。一方で医師の負担を減らそうと里帰り出産を断り、妊娠初~中期の妊婦健診はほかの病院や医院で分担する。そうやっても年1200件が上限だという。
(以下略)
(朝日新聞、長野、2008年2月14日)