ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

周産期救急への対応

2012年12月01日 | 周産期医学

当科では、分娩件数が急増している関係上、最近は異常分娩に遭遇する機会も大幅に増えました。

全身麻酔下の超緊急帝王切開例も、今年に入ってから6例経験しました。6例中5例は勤務時間外(平日の準・深夜帯や休日)の発症でしたが、帝切決定から児娩出までに要した時間は全例で30分以内でした。6例中5例は常位胎盤早期剥離の突然の発症でしたが、発症直前まで特に妊娠高血圧症候群などの症状は認められず、低リスク妊娠と判断していた妊婦さん達でした。超緊急帝王切開例を経験する度に、周産期チーム(産婦人科医、小児科医、麻酔科医、助産師、産科病棟看護師、NICU看護師、手術室看護師など)が一堂に会して、臨床経過を振り返り、超緊急帝王切開対応マニュアルの改善点をチーム全員で検討しています。

また、最近、分娩時の母体脳出血の症例を経験しましたが、発症直後から周産期チームに加えて脳神経外科医らとも緊密に連携して、病院の総力を挙げて全力で治療に当たりました。

周産期の緊急異常事態は突然発症し、発症直後からチームで一致団結して迅速に対応する必要があります。発症時にチームの誰が勤務しているのかは全く予測できません。従って、周産期の緊急異常事態がいつ発症してもチームで適切に対応できるように、常日頃からチーム全員で対応する手順をよく話し合って、シミュレーション・トレーニングを繰り返して、周産期救急への対応にチーム全員が習熟しておく必要があります。

現在、新生児蘇生法(NCPR)講習会を院内で定期的に開催し、スタッフの新生児蘇生法のシミュレーション・トレーニングを繰り返し実施してますが、可能であれば将来的には、ALSO(Advanced Life Support in Obstetrics)コースも定期的に開催し、スタッフの産科救急への対応についてのシミュレーション・トレーニングを繰り返し実施できるようにしたいものだと夢想しています