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月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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昼の月

2013-07-14 03:35:52 | 詩集・瑠璃の籠

軽々と 越えられる国境を
遠く見て 今いる空を感じている

わたしは こういうことさえ
できるものだったのか

すぎさっていく なつかしいものたちの
うたが きこえてくる
なつかしいと おもうこころさえ
古い皮とともに 脱ぎ捨ててしまった

みどりのくすのきがわらう
せんだんのかおりが わらう
わたしをあいしていると
ああ たんぽぽ すみれ
みみなぐさ
もう二度と ここで会えないのか

かなしみは いちまいの
すきとおった きぬのようだ
それもぬいでしまえば いいことなのだが
いましばし 蒸発する寸前の
涙のように 着ている

笑いたまえ きみ
なにもかも わるいことになってしまったのではない
あなたがたはいつか
わたしをうしなったことが
いちばんよかったことなのだと しることだろう

ふるさとに かえるまえに
もうにどとは かえれない
この青い故郷を 見ていたい
いま しばらくは
見えない月となって
白い雲に隠れながら

ああ 二度とは見ることのできない
きみたちのすがたを
いましばし 見ていたい




コメント (1)
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