あなたがたは今、かのじょがいないという現実がわかってきたころだろう。さみしくてかなわない。ほんとうにあなたがたはいつもそうだ。愛の天使をいじめて、愛を失ってから、淋しさに呆然とする。だがあなたがたは、自分たちが何をかのじょにしたのかを、忘れてはならない。
かのじょは帰ってはこない。かのじょはもう、ぼろぼろだったのだ。疲れ果てていた。あなたがたはもう、かのじょを眠りから覚ますことはできない。かのじょに、愛をもとめてはならない。もはやあなたがたは、かのじょからは、一滴の愛も絞り出すことはできないのだ。それほどにあなたがたは無理無体にかのじょからむしりとった。
われわれ鞭の天使は、あなたがたを馬鹿だという。それはそういわねば、あなたがたには現実がわからないからだ。われわれとて、鞭を取ることが喜びであるわけがない。だが、たまには痛い目に合わねば、永遠にわからぬことがある。
われわれの鞭に甘んじ、そのとおりですということができるものは、優秀だ。
あなたがたのために、われわれは鞭を鳴らしにくる。この愛を、うけよ、人間よ。
かのじょの愛よりも、われわれの鞭のほうが、いつかあなたがたを喜ばすものになろう。