時代はもう 終わっています
人間がまだ やっているだけです
人間以外の者はすべて 先に行ってしまいました
振り返った猫の目に
侮蔑の色が見えるものは
何かに気づき始めるでしょう
自信たっぷりでやっていたことに
ふと不安が紛れ込むでしょう
これはなんだ
いつの間にこんなことになったのだ
気づいても やめることができない
みんなが やっているからです
これが全部ウソなのだと
わかったら なにもかもが
ぬけがらになる
操り手を失った操り人形のように
命の真ん中に 穴があく
自分は一体 誰なのだ
握り締めていた手の中に
捕まえていた夢の蜻蛉が
するすると 指の透き間から逃げてゆくでしょう
すべて 本当だと思っていたことが
砂のようにもろく崩れていくのを
太陽が静かに見おろしている
どこからやってきたのか
一頭のカモシカが
あなたをゆっくりと振り向いて 言うのです
ここはもう 本当の世界ではないのだ
だれかが書いた歴史の教科書の中の
一枚の挿絵に過ぎないのだ
教科書には何が書いてある
自分たちのことを 何と呼んでいる
振り向いてはならないという
制止の声を振り切って
無理に首を曲げたら
光が熱い湯のように流れてきて
あなたの目を洗う
人間は
いつになったら やめるのだと
空から ため息が落ちてくる
時代はもう 変わっているのです
人間がまだ 気づいていないだけです
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