終末は
静かなる月に敬意を表して
音もなく降る雪のように
静かにやってくるでしょう
流れた血もなかった
大きな爆発も暴動もなかった
ただ いつの間にか
世界が死んでいた
まるでユミールの死体のように
透き通った衣装を着た妖精が
月光の中で風のように踊っている
それは終末という名の物語の始まり
森に行かねば 森に
だがどこにいけば 森がある
目覚め始めたものが
ようやく歩き始める頃
破滅はもうすべてを掌握している
なんと美しい破滅なのか
清らかな風が音もなく吹くだけで
なにもかもが消えてゆく
あらゆるものに宿っていた魂が
虚無に吸い込まれてゆく
去って行ったものを
追いかけてはなりません
追いかけても追いつくことはできません
それくらいはわかるほどに
大きくなりましたね
真実の真実を見ても
騒いではならないと
言われたことを
守ることができるほどに
賢くはなりましたね
物語の向こうの 開いた扉の奥から
不思議に懐かしい歌が聞こえてくる
それがだれの声かを思い出す前に
準備をなさい
真実のみを着飾り
風の中で破滅の声を待ちなさい
生と死が双子のように並んで歩いてくる
どんな運命が待っていても
逃げてはなりません
それはあなたのものだからです
もう二度と 人間は
自分たちが最高のものだった あの世界に
帰ることはできないのです
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