今は知ってはいけない
真実の色を
目を閉じるとわたしは
悲哀の水に沈んだ
幻の町のように 見ることができる
わたしは今
まだ今は帰ってはいけない
故郷の岬にいて
静かにそれを見ている
わたしの背後には
翡翠のような気配を持つ
静かな友がいて
わたしの肩にさわろうと
白い手を伸ばしているが
風一枚の隙間を挟んで
それをとめているのだ
あなたがわたしの肩をつかめば
そう わたしは
いっぺんに帰ってしまうだろう
故郷に
目を開けて 岩戸の中にいる
自分を見つける
夢のような記憶は
鈴の音にかき消されて見えなくなる
けれどそれは 何か暖かなものに変容して
わたしの心臓に溶けて
全身を巡ってゆく
夢は わたし自身となる
もう少し 生きていよう
ともだちがたくさん 助けてくれる
わたしは 生きていなければならない
たくさんの悲しいことがあろうとも
ああ
人々よ 愛している
それだけが
愛だけがわたしをここにひきとめる
ルクバー すまない
またわたしは 言ってしまった