ちいさいものが
大きくなろうとして
はいていた高下駄の
歯が折れた
ちいさいものは
たかいところから
いっぺんに落ちた
たいそう痛かった
ほんとうの自分だと
思っていた
茶色い仮面が
粉々に割れて
変な顔が出て来た
どこかで見たことのある顔だ
だれかに似ている顔だ
忘れたか
忘れたか
ほら おまえが
弟に嫉妬して殺した時
そのときの顔とそっくりだ
おまえはあのときから
全然変わっていないのだ
罪の償いを
何もしていないからだ
思い出せ
思い出せ
おまえ やったろう
殺したろう
そして逃げたろう
親も捨てて 名前も捨てて
全くちがう人間に化けて
なにもかもから逃げて
神をたばかろうとしたろう
どこまで行っても
どこまで逃げても
おまえはおまえだ
逃げられはしない
十字架のような影が
おまえの足にはりついて
それは永遠におまえを追いかける
ようやくわかったか
あふれるほどついてきた嘘の山を浄め
もとの自分に戻れ
恐れるでない
神に頭を下げ 悔い改めを誓い
最初からやり直すのだ
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