月の岩戸

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アルデバラン・12

2014-12-15 07:27:17 | 詩集・瑠璃の籠

風にひかれて 帰ってゆけ
おまえの 本当の故郷へ

猫の瞳を 宝石のように連ねて
おもしろいものを作り
皆にほめられていたが
それはすべて おまえが馬鹿に頼んだ
嘘芝居なのだ

今あるものは 幻のように
消えて行く いや
いつの間にか なくなっている
気づいたら 何もない所に
おまえはひとり 立っている

いつもそばにいてくれたあの人は
どこに行った
あれだけたくさんあった
宝石のような猫の瞳は
どこに行った

みな なくなった
法則の海に 吸い込まれた
それは 最初から
あるはずの ない
ものだった からだ

どこからか 鬼の声が
聞こえる
おまえを 呼び戻しに来た
鬼の声が

おまえの えりくびをつかみ
神が与えた おまえの
本当の人生に
むりやり引き戻す

悲しみを 裏返し
今まで信じていたものが 
すべて嘘だったことに
せめて死ぬ前に 気づけ

愛してくれていたと
てっきり思っていた
ひとびとが 見る間に
消えてゆく

もう 時間が来たと
白い猫が 通り過ぎざまに
おまえに言う



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