月の岩戸

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スピカ・22

2015-12-04 03:31:30 | 詩集・瑠璃の籠

あなたのなくしてしまった銀の指輪は
あなたの手がなしたことを
神に教えるために
蝶に乗って空にゆきました

ああ 青空を横切る白い雲が
いつもよりずっと低い
神が 何かをするために
降りてきていらっしゃるのです

静かにしていなさい
馬鹿なことをしてはなりません
神の前では必ずいい子でいなさい
それでないとすべてが裏返ってしまいます

人類のしたことを覚えている
小さな銀の指輪は
神の耳飾りとなって
静かな歌を歌っています

それは人間の耳の所にも流れてきて
心臓に不安の花が咲くように
涙が流れるのです
とうとう おしまいのときがきたと

何が起こるのか まだわからない 
わからなくていい
だが この人間社会で
あまりに大切なことが
面白くない本を閉じるように
終わってしまうのです

もうこどもではないと
だれかが言っています
神の声ではない
神の代わりにだれかがおっしゃっているのです
銀の指輪は歌い続け
白い月が夏の雲に溶けて消えたことを
神の耳に教えます

人類はもう
子供じみた明日への夢を
棄てねばなりません
そして新しい夢とは何かを
学ばねばなりません
それが何かは 生まれてきてみねばわからないのです
ただ それがすべての人間を
おどろかすだろうことは
神に聞かずともわかることです

おとなしくしていなさい
神が近くにいらっしゃる間は
御用が終われば
神は銀の指輪を
あなたがたに返して下さるでしょう




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