月の岩戸

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アルドラ・5

2017-05-30 04:16:05 | 詩集・瑠璃の籠

混沌の響きというは
自分を馬鹿だと思い込んだものが
その苦しさのあまり
他者を暴力的に攻撃するようになり
それによって世界が
おそろしく滅亡の闇の方へ
傾いてしまうことを言います

混沌というは虚無
虚無とは全くないもののことです
ゆえにこの世にふるえる力なども
あるはずがない
力を持つのは
存在というものだけなのです

自己存在が存在する前の
混沌というもの
虚無というものを
永遠の絶対支配者にしたいなどという
動きは
子宮回帰の心と根を同じにしています

生きることを
あまりに苦しく
難しいと感じている魂が
母にすべてをやってもらえていた
胎児の頃にもどりたいと思う
なにもしないでも
親がすべてをやってくれていた
子供のころに戻りたいと思う
それが
混沌に響いた人間の心の闇に巣くう
鼠のような弱さなのです

あほうと言うは
その
薄苦いウェハースのような
幻のお菓子に
すがりついているものなのです
甘えたい
甘えたい
だれかに助けてもらいたい

だが
だれも助けにきてはくれない
なぜならもうそのものは
充分に大人になったのですから
自分というものがわかるほどに
大きくなったのですから

大きくなったものは
自分でやれることはみな
自分でやらねばならないのです
混沌にぬれた自分の
おろかな鎧を捨て
まことの自分に戻りなさい
それですべては救われるのですから

わたしはアルドラ
人類の天使ではありません
月の友です

これからもときに
語りにきましょう





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