小金井桜町病院の桜
離見の見 2021年3月21日
二月の式能での「翁」に続き、
金剛流家元、金剛永謹師の能「加茂」を
昨日拝見しました。
私自身、能は、
学生の頃から観てはいたものの、
その頃は、何を見ていいのかもわからず、
とりあえず、観世栄夫師と野村万作氏を
追って観ていました。
鎌倉の薪能や三浦漁港の薪能を
毎年観に行っていたのが、20代から30代の頃です。
同時にその頃、演劇は、鈴木忠志に夢中で、
そこからシェークスピアの面白さを学び、
能の触りを知ったのも鈴木忠志氏との出会いでした。
子育てに手が離れ、自分の事を中心に動けるようになったころ
ひょんなことから先生との出会いがあり、
謡いと仕舞を習い始めたのが、
今から13,4年前の事です。
昨日3月20日の舞台は、
ほんとうに素晴らしいものでした。
あっという間に時間が過ぎてしまいました。
演じる事の厳しさと律しながらの
修練、稽古は、世阿弥の風姿花伝を読むと
演ずるとは、どういうことかが
窺えるのですが、
それを理解し、実行するのは、
どのくらいの人ができているのだろうか、
というくらい厳しいものであり、
高い理想の世界のように思います。
そして、
この高い理想を、現実のものに
しようとする演者の修練は、
並並ならぬ日常の積み重ねでありましょう。
人生の半ば過ぎから、習い始めた
謡いと仕舞のお陰で、
それらのことを考えるに至ることが
できているだけでも、
私の幸せであるのかもしれません。
いくら仕立てても、思い通りの仕上がりにならない
表装にしても、
どんなに人と関わっても、対応に反省を感じる事も
きっと、明日は理想に近づく。。。という、
思いがあるから、日々の積み重ねが
できるのかもしれません。
倣うことを厭わず、
型を体にしみ込ませるまでの
道のりは、山あり谷ありです。
仕舞の型を倣うことも
書道の筆の持ち方を習う事も、
茶道のお点前も、
出来る内にもう一度
身体にしみ込ませたいものです。
自分自身の人生は一度きりだもの。
離見の見。
昨日の舞台は、その舞いを
シテとツレ(金剛龍謹師)双方から
夢のように感じ取れた素晴らしい舞台でした。
能は、私の生き甲斐だと、ほんとうに
思えるようになっていることに気付いた
一日でありました。
金剛の舞の美しさが
段々と見えてきました。
離見の見
世阿弥の能楽論書「花鏡」で、述べた言葉。演者が自らの身体を離れた客観的な目線を持ち、あらゆる方向から自身の演技を見る意識の事。反対に、自己中心的な狭い見方は「我見がけん」といい、これによって自己満足に落ちいる事を厳しく諫めている。能楽用語辞典より
講座スケジュール
①
目黒カルチャースクール
第1金曜日
2021年4月2日
13:00~15:00
6月4日は、個展のため休講
②
目黒カルチャースクール
第3金曜日
2021 4月16日
13:00~15:00
②
綾子塾「生き甲斐の心理学」
場所:横浜桜木町 婦人会館
時間:13時~15時半
日程:2021年4月13日第4回(第2火曜日)
(綾子塾は、限定メンバー制)
③越乃生き甲斐の心理学
場所:横浜桜木町 婦人会館
(公開講座)
時間:13時~15時半
日程:2021 3月25日(第4木曜日)
9月は24日金曜日です。
紅葉坂植村勉強会
場所:横浜桜木町婦人会館
日程:2021年4月6日火曜日