今から30年前の1993年2月6日、米国ニューヨーク州マジソン・スクエア・ガーデンで行われた試合結果です。
2団体ヘビー級戦:
IBF/WBA王者リディック ボウ(米)TKO初回2分19秒 挑戦者/元WBA王者マイケル ドークス(米)
*「世紀の一戦(Fight of the Century)」と呼ばれる世界ヘビー級戦、ジョー フレージャー(米)対 モハメド アリ(米)を始め、数多くの名勝負、ビックイベントが開催され続けるマジソン・スクエア・ガーデン(MSG)は、世界ボクシングの聖地と呼ばれています。しかし1980年代から1990年代前半は、主役の地位をネバダ州のラスベガスや、近郊のニュージャージー州のアトランティック・シティに奪われていました。ボクシングでの収入が見込めないと見越したMSGは、同スポーツからの撤退を発表。数年後にそれを撤廃されましたが、当時はこれがMSGでの最後の世界ヘビー級戦になるという落胆の雰囲気に包まれていました。
(「世紀一戦」もマジソン・スクエア・ガーデンで行われました)/ Photo: IMDb
前年11月に、イベンダー ホリフィールド(米)を歴史的激戦の末に破りヘビー級の頂点に到達したボウ。その後、戦わずしてWBC王座を放棄。アマチュア時代のライバル、レノックス ルイス(英)との因縁の再戦をふいにし、代わって選んだのが10年前のヘビー級王者ドークスでした。
(ボクシングの聖地で行われた久々の世界ヘビー級戦でしたが...)/ Photo: Wikipedia
試合前からミスマッチの声が上がっていたこの試合。注目は地元出身のボウが、どのようなパフォーマンス、快勝劇を演じてくれるかに絞られていました。蓋を開けてみると、両者の試合時の実力差は予想以上で、ボウは老兵からあっさりとダウンを奪うと、その後の連打であっという間にストップ勝ち。僅か139秒で王座の初防衛に成功しました。世界最高峰と揶揄されるヘビー級のタイトルマッチがあっけなく終わってしまい、会場からはブーイングも聞かれましたが、王者ボウには何ら責任はありません。それだけ当時のボウは強かったという事です。
(古豪ドークスに襲い掛かるボウ)/ Photo: BoxRec
「アリ対フレージャー」の他にも、シュガー レイ ロビンソン(米)やジャック デンプシー(米)等、ボクシング史上のトップに名を残す超名選手もMSGのリングに登場。あの「石の拳」ロベルト デュラン(パナマ)も同会場で初の世界王座を獲得し、3階級制覇もそこで果たしています。
今回紹介した「ボウ対ドークス」戦以降も、イベンダー ホリフィールド(米)、レノックス ルイス(英)、ウラジミール クリチコ(ウクライナ)、ジョー カルザゲ(ウェールズ)、ロイ ジョーンズ(米)、バーナード ホプキンス(米)、ゲナディー ゴロフキン(カザフスタン)、セルジオ マルティネス(亜)、パーネル ウィテカー(米)、フェリックス トリニダード(プエルトリコ)、ミゲル コット(プエルトリコ)、ナジーム ハメド(英)、ノニト ドネア(比)等、多くの名選手が同会場に登場し、数々の名勝負を演じてきました。これからも、それらの試合にも劣らない試合が開催されていくのでしょうね。
(「ボクシングの聖地」マジソン・スクエア・ガーデン。その他、多彩に利用、運用されています)/ Photo: MSG
試合を振り返る予定でしたが(実際にしましたが)、マジソン・スクエア・ガーデンを振り返る事になってしまいました。まあ、それもアリという事にしておきましょう。