「1990年代初頭からこれまでの約四半世紀、それぞれの階級で印象に残った選手を各階級3人ずつ挙げていっています。記載上のルールは各選手、登場するのは1階級のみ。また、選んだ選手がその階級の実力№1とは限りません。個人的に思い入れのある選手、または印象に残った選手が中心となります。」
上記の見出しで始まった「この階級、この選手」。2014年7月24日から昨年2020年の5月25日まで、全17階級の自分の記憶に残った選手たちを掲載してきました。今回の「この階級」であるライト級で選出した選手は、「東京 三太」の名前で日本のリングにも登場したミゲル アンヘル ゴンザレス(メキシコ/2016年8月18日に投稿)。日本を本拠地都市、敵地でその強さを見せつけたオルズベック ナザロフ(協栄/キルギスタン/2016年10月26日)。そして「平成のKOキング」坂本 博之(角海老宝石/2016年11月30日)の3名でした。
階級によっては「何でこの選手を選んだのだろう?」と後悔する場合もあるのですが、ライト級で選出した3名についてはいまだに大満足。2021年秋の段階で、全階級を通じて最も激戦地区と思われるライト級ですが、ゴンザレス、ナザロフ、そして坂本がそれに加わったらどのようになるのだろうと自らの想像の世界を楽しんでいる今日この頃です。
ゴンザレスとナザロフは共に、1990年代半ばに世界ライト級王座を獲得し、揃って安定政権を築いた強者でした。ゴンザレスはWBC王座の10連続防衛に成功し、ナザロフはWBA王座を6度防衛。それぞれ素晴らしい記録ではあるのですが、正直、両者の実力を考えるとかなり物足りません。パンチ力はそこそこでしたが万能型だったゴンザレス。時々、格下と思われた選手を相手に、際どい試合を演じる事もありました。しかし同級での王座統一や、スーパーライト級で2階級制覇を達成する力は十分あったと思います。まあ、スーパーライト級で挑んだ世界王者が全盛期のオスカー デラホーヤ(米)とコンスタンチン チュー(露/豪)、そしてメキシコの英雄フリオ セサール チャベス(チャベス)だったと考えると、致し方なかったと言ってしまえば、それまでですが。
ナザロフの場合、その実力は日本国内、そして海外でも非常に高く評価されていました。しかし強すぎるためか、マッチメークの悪さだったのか、実力に見合った名前のある選手の対戦が実現しませんでした。そして「外国人」だったため、日本で定期的に防衛戦を行えなかったというのも致命傷でした。
さて、もし両者が現在のライト級戦線に殴り込みをかけたらどのような事になるのでしょうか?ワシル ロマチェンコ(ウクライナ)との旧ソ連対決は、考えるだけでワクワクしてしまいます。共にアマチュアの名選手でサウスポー。ナザロフは、相手との距離をドンドンと詰めテンポよく攻撃していくタイプ。一方でロマチェンコは、そのスピードと、フットワークそして距離感で相手をギブアップさせる選手。両者が対戦すれば、ボクシングがかみ合いそうですし、全くかみ合わない気もします。ただ、どちらかが一方的な勝利を収めるという事はないでしょう。
(日本国内で高い評価を受けていたナザロフ)
東京 三太(ゴンザレスの日本でのリングネーム)がパワー型のテオフィモ ロペス(米)やジャルボンテ デービス(米)と対戦する姿にも興味を大いにそそられます。三太は万能型の選手なのですが、ロペスもデービスも完成度の高いボクシングを展開します。それに両者には、ゴンザレスにないパンチ力があります。ここは大先輩が大苦戦しそうな気がします。そして苦戦の末、ゴンザレスが疑惑の判定勝利というのはどうでしょうか?
(三太とロペスが対戦したらどんな試合になるのでしょうか!?)
世界のトップ戦線とは開きがあるものの、現在、日本国内ライト級には好選手が揃っています。日本王座の7度目の防衛に成功し、同時にOPBF(東洋太平洋)、WBOアジア太平洋の3つのベルトを保持している吉野 修一郎(三迫)。前WBOスーパーフェザー級王者伊藤 雅雪(横浜光)。OPBFスーパーフェザー級王座を返上し、同級に進出してきた三代 大訓(ワタナベ)。そしてロマチェンコと拳を交えた中谷 正義(帝拳)。これらの選手たちと「平成のKOキング」坂本が対戦したらどうなるのでしょうか?令和組はその迫力に圧倒されそうな気がします。ここに坂本のライバル畑山 隆則(横浜光)やリック 吉村(石川)も加わり七巴戦を展開すれば、ボクシングファンならず多くの人が注目する事間違いなし!
(「平成のKOキング」。世界のベルトを腰に巻いてほしかった...。)
三太、ナザロフ、ロマチェンコ、ロペス、デービスと、どの選手も才能豊かな選手たちです。しかし三太とナザロフが活躍した直前にライト級王座を統一したパーネル ウィテカー(米)や、ウィテカー以前にライト級で全盛期を迎えたフリオ セサール チャベス(メキシコ)には、どうあがいても勝てないでしょうな。
(ライト級時代、とてつもなく強かったチャベスと、技巧なら、ライト級史上最巧のウィテカー)
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