今から30年前となる1994年12月4日、名古屋市総合体育館レインボーホールで行われた試合結果です。
WBCバンタム級戦(王座統一戦):
王者薬師寺 保栄(松田)判定2対0(116-112、115-113、114-114)暫定王者辰吉 丈一郎(大阪帝拳)
試合前から異様な盛り上がりを見せた「世紀の一戦」。日本ボクシング史に刻まれるこの一戦が行われてからもう30年も経ちます。この名勝負を、簡素ながら各ラウンド毎に振り返ってみましょう。
(30年前に行われた「世紀の一戦」)/ Photo: Ameblo.jp
*1回:良コンディションを思わせる、辰吉の動きが非常に良い。しかし余裕を持ちすぎてるのか、少々見過ぎの傾向がある。暫定王者とはいえ、実際には挑戦者。挑戦者は挑戦者らしくもっと攻めなければ。動きが固かった薬師寺も、中盤以降手堅い左ジャブで応戦。
(私(Corleone)の採点:10-9で辰吉。3人のジャッジは2対1で辰吉を支持)
2回:攻めが単調すぎる辰吉はガードが低く、そこに薬師寺の左がコツコツと当たりだす。
(10-9で薬師寺。3人のジャッジは2対1で薬師寺)
3回:薬師寺のジャブに加え、ショートの右アッパーがたびたびヒット。何発か良いボディーを放った辰吉だが、むきに攻め込む傾向アリ。
(10-9で薬師寺。しかしジャッジは3者揃って辰吉を優勢とする)
4回:薬師寺の左ジャブは的確性に加え数も出てきた。しかし右目が腫れ始める。辰吉のコンビネーションを放つが、長く続かない。また、パンチの貰い方が悪い。
(10-9で薬師寺。ジャッジも3者揃って薬師寺を支持)
5回:薬師寺は当たらなくてもパンチを放ち続ける。ロープに詰まっても巧く体を入れ替えるなど、この試合でも成長していることを証明。辰吉は右が良い。しかし少なくとも接近戦でのガードを上げたい。そのため、軽いパンチを不必要に貰いすぎ。
(私は辰吉を支持。しかしジャッジも3者揃って薬師寺を支持)
(辰吉の右が薬師寺の左を上回る)/ Photo: スポニチ
6回:左目が大きく腫れだした辰吉だが、得意のボディー攻撃がようやく出るようになった。しかし相変わらず薬師寺の左ジャブ、右のショートアッパーを貰いすぎ。対する薬師寺も両目上を切る。
(10-9で辰吉。ジャッジも3者揃って辰吉を支持)
7回:鼻血を流し始めた辰吉は、それに比例するかのように突進力も減退。薬師寺は軽いながらも連打を立て続けに決めていく。また辰吉の攻撃をフットワークでいなす。
(10-9で薬師寺。ジャッジも3者揃って薬師寺を支持)
(辰吉に右を当てる薬師寺)/ Photo: スポニチ
8回:辰吉の左目は完全にふさがっている状態に。薬師寺は7回以上に良いラウンドを作る。
(この回も当然の如く10-9で薬師寺。ジャッジも3者揃って薬師寺を支持)
9回:辰吉のパンチも当たるが、薬師寺のそれは軽いながらも3倍は当たっている。薬師寺はフットワークを大きく使うようになってきた。
(10-9で薬師寺。しかしジャッジは分かれ、2対1で薬師寺)
10回:薬師寺は自信を持ってアウトボクシングする薬師寺に対し、辰吉は前進するのみ。
(10-9で薬師寺。ジャッジも3者揃って薬師寺を支持)
11回:勝負に出た辰吉の攻撃が勝る。薬師寺はこれまでとは違い「逃げ」のボクシングに。
(10-9で辰吉。ジャッジも3者揃って辰吉を支持)
(薬師寺をロープに追い詰める辰吉)/ Photo: Youtube
12回:この回も辰吉の攻撃が勝った。そして薬師寺も懸命に打ち返した。
(10-9で辰吉。ジャッジは2対0で辰吉)
試合を通しての印象としては薬師寺の快勝に思われた。しかし採点をまとめてみると、115-113と薬師寺が僅かにリードしていた。
解説の具志堅 用高氏を含め、会場は辰吉贔屓が多かったという印象が残る。しかし同時に、アンチ薬師寺派はほとんどなかったように感じられた。
試合後、辰吉、薬師寺はもちろん、両陣営ともお互いに称えあっていた。辰吉の左目の腫れは酷かったが、薬師寺の左右の腫れも負けていなかった。
(稀に見る大激戦、名勝負でした)/ Photo: 日刊スポーツ
この試合を名勝負と言わないで何と言うのでしょうか?
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