今から約30年前となる1994年11月12日、メキシコで行われた試合結果です。
WBCスーパーウェルター級戦:
挑戦者ルイス サンタナ(ドミニカ)反則5回2分2秒 王者テリー ノリス(米)
*ノリスにとりメキシコというのは、あまり相性の良い地ではないのかもしれません。この試合が行われた前年1993年師走に同地に登場したノリスは、サイモン ブラウン(米)の強打の餌食となり王座から陥落してしまいました。この年の5月にブラウンを完封し、王座に返り咲いたノリスでしたが、自身2度目の王座の初防衛戦でとんでもない落とし穴が待っていました。ノリスが迎えたのは、38勝(29KO)15敗2引き分けの戦績を持つサンタナ。その実力は戦績の通りで、世界ランカーとしては並以下。しかもこの試合がサンタナにとり1年ぶりのものでした。
(ノリスからして、安全パイと見られていたサンタナでしたが...)/ Photo: Youtube
そんな格下相手に「倒そう」という意識が強すぎたノリスは、試合開始早々から妙にいきり立っていました。どうもブラウンとの初戦から様子がおかしいノリス。3回にはサンタナの右でグラつき、追いうちのパンチを貰った後は自らクリンチ(相手に抱きつく行為)にいきます。勢い余ったノリスはバランスを崩しフロアに転落してします。驚くことにレフィリーは、それをダウンとみなすという不手際。
(妙な形でダウンを奪われてしまったノリス)/ Photo: Youtube
4回にはバッティングでサンタナが額のど真ん中をカット。アクシデントとはいえ、負傷していないノリスはWBCのルールに則り減点一を科されてしまう始末。ノリスからすると、何から何まで歯車が狂っていました。しかしようやく5回、ノリスはサンタナをあと一歩のところまで追い詰めます。しかしロープ際で体が入れ替わった際、ノリスはドミニカ人の後頭部にパンチを放ってしまいダウンを奪ってしまいました。
リング上に横たわるサンタナは、レフィリーやリングドクターの声が聞こえないのか、リングに横たわり続けます。誰がどう見てもサンタナが嘘を演じているのは明白。しかしノリスが反則打を放った事もまた事実。結局はその「ダウン」から5分後、ノリスは失格負けを宣告されています。レフィリーやコミッションを含め、試合運営側にも落ち度があった一戦。妙な形で試合は終わってしまいました。
(KOされた勝者サンタナ)/ Photo: Youtube
当時のノリスには、一階級下のウェルター級王者パーネル ウィテカー(米)や、一階級上のミドル級王者ロイ ジョーンズ(米)との対戦話が出ていたノリス。この「大ドジ負け」のために、それらのドリームマッチを不意にしてしまいました。
王座を失うと同時に、メキシコでの通算戦績を2勝(1KO)2敗(1KO負け)としたノリス。彼が再びこの国で試合を行うことはありませんでした。
WBAクルーザー級戦:
王者オーリン ノリス(米)KO2回2分46秒 挑戦者ジェームス ヒース(米)
*7勝(6KO)1敗2引き分けという明らかな格下を迎えたテリーの実兄オーリン。6分弱で歯ごたえのない挑戦者を仕留め、無難に防衛記録を3に伸ばしています。
興行者であるドン キング氏は、テリーもオーリンのように安易に防衛記録を伸ばすと思っていたことでしょう。
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