出掛ける時の目的によって持ち歩く本がある。その一つがこの野草の本。こんな前書きがある。
華やかに飾る花よりも
野辺に咲く小さな花が好き
というあなたに贈る
☆
よく日のあたる散歩路
いろんな思い出のつまった
土手や原っぱ
田んぼのふち
野山や林のかげ
ここそこで
いろんな名前の花たちと会える
そして、リュックを背負って
たまには、もうちょっと
遠出した時
旅した時
あなただけの小さな観察会
成功を祈ります
この本は、幼いころ野山で遊んだ郷愁を運んでくれる。
何気ない小さな花にも、懐かしさと、思い出と、ものがたりがある。
そして個性的なその名に驚かされることもある。
この花の名、「ワルナスビ」(悪茄子)といいます。
茄子の花に似ていて、野の花にしては存在感があり、手折って持ち帰ろうとして驚いた。茎が棘々で痛くてとても持って帰れない。
名前を調べると「悪茄子」 茄子に似ているから悪いのか、それとも棘があるのが悪いのか?
可憐なこの花、他の植物に巻きついて咲いている。ところが名前を調べてびっくり、なんと「ヘクソカズラ」 漢字で『屁糞葛』と書く。
葉に特有の匂いがあるのでこんな名前が付いたという。気の毒な花であるが、葉には血止めの薬効があるらしい。
しかし、別名を「サオトメバナ」という可愛い名も付いている。釣り鐘状の花の美しさを早乙女の花がさに見立てているという。
この野草、云わずと知れた猫ジャラシ、しかしそれは別名で正しくは「エノコログサ」 犬の子草の意味で、花穂が犬のしっぽに似ているからだという。
我が家の近くにも生えているので部屋に生けてみると、涼しげでいい。
まだまだびっくりするような名前の野草がたくさんあります。
「ママコノシリヌグイ」 (継子の尻拭い) 茎や葉の裏に棘があってその為についた名前だというが、なんと恐ろしい名前なのか。継子もこんな棘のある草で尻を拭かれたのではかわいそう。
よく見る草花だが、今回は見つけることができませんでした。
「イヌノフグリ」 フグリとは陰嚢、つまりタマタマの袋のことである。春の花です。
「ハキダメギク」 牧野富太郎博士が人に聞かれ、とっさにこの名をつけたという。なんと無責任な。
野草にも見過ごせない面白さがあります。小さな花にもちょっと目を向けてみませんか。
2005.08.15