
☆
友とするにわろき者、七つあり
一つには、高くやんごとなき人
二つには、若き人
三つには、病なく身強き人
四つには、酒を好む人
五つには、たけく勇(いさ)める兵(つわもの)
六つには、虚言(そらごと)する人
七つには欲ふかき人
-吉田兼好『徒然草』より-
友人にするには向かないタイプが七つある、と兼行はいう。
その中の六つ目に「嘘をつく人」をあげている。
☆
世に語り伝ふること
まことはあいなきにや
多くはみな虚言(そらごと)なり
・
・
・
かつ現(あらわ)るるも顧みず
口にまかせて言ひ散らすは
やがて浮きたることと聞こゆ
世に語り伝ふること
まことはあいなきにや
多くはみな虚言(そらごと)なり
・
・
・
かつ現(あらわ)るるも顧みず
口にまかせて言ひ散らすは
やがて浮きたることと聞こゆ
世の中に広く伝わる話は、事実そのままだと受けないからか、大部分は「うそ」で固めてある。
・
・
・
・
・
話すそばから、「うそ」がばれるのも気にしないで、口からでまかせにしゃべり散らすのは、すぐに信頼できない話と判断される。
☆
とにもかくにも、虚言(そらごと)多き世なり
ただ常にある珍しからぬことのままに心得たらむ
よろず違(たが)ふべからず
下ざまの人の物語は、耳驚くことのみあり
よき人は、怪しきこと語らず。
とにもかくにも、虚言(そらごと)多き世なり
ただ常にある珍しからぬことのままに心得たらむ
よろず違(たが)ふべからず
下ざまの人の物語は、耳驚くことのみあり
よき人は、怪しきこと語らず。
何といっても、「うそ」の多い世の中である。「うそ」とわかっていても、深く関わらず、よくある世間話くらいに受け取っておくのが、一番無難である。無教養な人間の語る話は、びっくりするような珍談・奇談ばかりだ。一方、教養人は、奇怪なことは口にしない。
★
僕にとっては、ちょっと耳の痛い話であるが、兼行は「うそ」を否定しながらも、真と偽の両面を併せ呑む態度も勧めている。
うそも方便といいます。うそをつかない人間はいません。意地の悪い嘘、悪意の嘘は許せないが、「うそ」と上手に付き合いながら、「悪しき友」にならず、「良き友」を選ぼうではありませんか。
聡明な『悩める人』と、『吉田兼行』から学びました。
「悪しき友」のほかの六つは、誤解を招くといけないので、機会を見て検証したいと思います。
2006.09.05