柴又帝釈天からほど近い場所に矢切の渡しがある。

帝釈天の裏に位置する江戸川の土手には、若草が萌えタンポポが咲き乱れていた。

帝釈天の裏に位置する江戸川の土手には、若草が萌えタンポポが咲き乱れていた。

この土手の下から「見上げたもんだよ屋根屋のふんどし、大したもんだカエルのしょんべん」と、寅さんが言ったかどうかは知らないが。

真っ青な空に雲の白さが際立つ春の午後、柔らかな陽射しを受けて、道行く人々の足取りも軽やか。

土手を超えると広々とした河川敷が広がる。

その河川敷の向こうの江戸川の流れに浮かぶ一艘の小舟。

これぞ、『揺れながら艪が咽ぶ 矢切の渡し』である。

『連れて逃げてよ・・・』 ♪ 『ついておいでよ・・・』
都内に残る唯一の渡しは、伊藤左千夫の小説『野菊の墓』でもお馴染みだが、何よりも全国に知れ渡ったのは、あの“ちあきなおみ”さんや、“細川たかし”さんの歌によるところが大きい。個人的にはちあきさんの歌唱が細川さんのそれよりはるかに情緒があって好きだが。。。

というわけで、土曜の午後の二人のシティーボーイによる下町散策は、流れる雲のようにのんびりとした『ぢい散歩』だった。