勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

散り際

2012-12-30 01:28:49 | Weblog
 咲いた花はいつかは散るもの、桜の花が日本人に愛される理由のひとつに、散り際の潔さにあるのだと思う。桜の花が満開を過ぎて、いつまでも咲き続けていたとしたら、こんなに愛おしくは感じないだろう。
 

 2012年が過ぎ去ろうとしているそのとき、ひとりの偉大なプロ野球選手が現役から去っていった。大リーグに挑戦して10年、日本の球界に戻る選択肢もあったかもしれない。しかし、ファンが求めるであろう「10年前の姿に戻る自信がない」という理由で、現役を退くという。それは彼の美学なのだろう。


 僕がプロ野球ファンになったのは、長島茂雄さんの存在があったからである。その長島さんの次に好きな野球選手が松井秀喜選手だった。彼の野球人としての才能はもちろんだが、それよりも、その謙虚で驕らず、誠実な人間性が好きだった。彼のプレーからもにじみ出る、フォア・ザ・チームの精神は見事だった。


 ボロボロになるまで現役を続ける選手もいる。それも美学のひとつだろう。だが、日本の球界に戻っても4番を打たない松井選手は、咲き終わってもなお枝にしがみつく桜のようで見たくない。2009年のワールドシリーズでヤンキースを優勝に導き、日本人初のMVPに輝いた彼の活躍は、今も目に焼きついている。その人間性から、チームメイトからも愛されたという松井選手に、お疲れ様とありがとうの言葉を添えて、彼の栄光と潔さに拍手を贈りたい。(画像は、大リーグ初本塁打が満塁本塁打の時のネット画像を保存していた、記念の写真である)