ハサミ男
2018年12月03日 | 本
ハサミ男と聞いて最初に連想するのは映画『シザーハンズ』だ。
白塗りのジョニーデップはいつも大きなハサミをチョキンチョキンさせて悲しそうな顔をしている。
その印象が強いせいか、いきなりハサミ男と言われるとコミカルなイメージを拭えない。
『ハサミ男』も『殺戮にいたる病』同様有名なミステリ小説らしい。
以下ネタバレになるので読んでいない人は絶対に読まないように。
『ハサミ男』
殊能将之 著
講談社ノベルス 1999年(講談社文庫 2002年)
物語はいきなりハサミ男と思われる人物の語りで始まる。
ハサミ男とは女子高生連続殺人事件の犯人の呼び名であり、被害者の遺体の首にはハサミが突き刺さっていた。
ハサミ男は3人目の標的を16歳の少女樽宮由紀子に定め身辺調査を進めていた。
彼女の家の近くで彼女の帰りを待ち伏せていたある日、あまりに帰りが遅いのでハサミ男は諦めて帰ることにした。
夜9時過ぎ、道の途中にある公園で足を止めると違和感を覚え奥に足を進める。
するとそこにはなんと首にハサミが突き刺さり絶命している樽宮由紀子がいた。
「わたしはすっかり混乱していた。わたしは樽宮由紀子を殺していない。
しかし、樽宮由紀子はハサミ男に殺されている。これはいったい、どういうことだろうか。」
物語はハサミ男の語りと、目黒西署刑事課の刑事たちの捜査状況が交互に描かれている。
ハサミ男と目黒西署刑事課の面々は違う方向から3人目の殺人事件の真犯人を追っていく。
偽ハサミ男の正体とは、本物のハサミ男の運命はいかに?
『ハサミ男』は第13回メフィスト賞を受賞し、殊能将之のデビュー作となった。
私はミステリと呼ばれるジャンルについて詳しくないので本格ミステリとか新本格派とかいわれてもよくわからないが、
著者がかなりのミステリファンであるということはわかった。
そのためか、題材は新しいのだけど全体の空気感は古き良き推理小説という感じ。
作者の殊能将之さんは若くして亡くなってしまったので、作品数は少ない。
発想は面白いけれど叙述ミステリとしてはどうなのだろう。
最後まで飽きることなく読むことができたが、想像を超えるような面白さはなかった。
『殺戮にいたる病』を読んだすぐ後だったので、非常に疑り深くなっておりそれがよくなかったのかもしれない。
いつもより頭が冴えていたのか、序章を読んだ時点で犯人像がはっきりしてしまった。
というのもハサミ男の人物像があまりに曖昧で読み進められなかったので、その一点について熟慮してしまったのだ。
語っている人物がどういう人なのかがイメージできないと、景色も心情もイメージできない。
しかし何度読んでも一人称が「わたし」で小さな出版社で働いているほっぺたがふっくらした人ということしかわからない。
太った男なのか、あるいは女性かというところまで絞って、改めてタイトルについて考える。
わざわざ『ハサミ男』というタイトルをつけたことからも女性である可能性が高い。
極め付けは、第1章に入り目黒西署刑事課の視点に移った場面で、
遺体発見現場(ハサミ男がいるはずの場所)に女性と太った男がいた時点で答えが出た。
しかし最後まで読むには作者の思惑にはまって読むべきだろうと思いハサミ男を太った男に再設定した。
どうか私の想像を裏切ってくれますようにと願うが、やはり「ハサミ男が女性だった」以上の衝撃は用意されていなかった。
アイディアは奇抜なのでもし最後まで騙されて読むことができれば最高に面白かったのではないかと思う。
また叙述トリックの衝撃にばかり捉われなければ、他の題材も盛りだくさんなので十分楽しめるだろう。
死に取り憑かれ繰り返し自殺を試みるハサミ男ともう一つの人格「医師」のキャラクター性。
また殺人犯が犯人を追うという推理小説も珍しいに違いない。
大雑把に述べると衝撃はないがそれなりに面白かったというところに落ち着く。
個人的には本物のハサミ男の殺人の動機を知りたかったな〜。
白塗りのジョニーデップはいつも大きなハサミをチョキンチョキンさせて悲しそうな顔をしている。
その印象が強いせいか、いきなりハサミ男と言われるとコミカルなイメージを拭えない。
『ハサミ男』も『殺戮にいたる病』同様有名なミステリ小説らしい。
以下ネタバレになるので読んでいない人は絶対に読まないように。
『ハサミ男』
殊能将之 著
講談社ノベルス 1999年(講談社文庫 2002年)
物語はいきなりハサミ男と思われる人物の語りで始まる。
ハサミ男とは女子高生連続殺人事件の犯人の呼び名であり、被害者の遺体の首にはハサミが突き刺さっていた。
ハサミ男は3人目の標的を16歳の少女樽宮由紀子に定め身辺調査を進めていた。
彼女の家の近くで彼女の帰りを待ち伏せていたある日、あまりに帰りが遅いのでハサミ男は諦めて帰ることにした。
夜9時過ぎ、道の途中にある公園で足を止めると違和感を覚え奥に足を進める。
するとそこにはなんと首にハサミが突き刺さり絶命している樽宮由紀子がいた。
「わたしはすっかり混乱していた。わたしは樽宮由紀子を殺していない。
しかし、樽宮由紀子はハサミ男に殺されている。これはいったい、どういうことだろうか。」
物語はハサミ男の語りと、目黒西署刑事課の刑事たちの捜査状況が交互に描かれている。
ハサミ男と目黒西署刑事課の面々は違う方向から3人目の殺人事件の真犯人を追っていく。
偽ハサミ男の正体とは、本物のハサミ男の運命はいかに?
『ハサミ男』は第13回メフィスト賞を受賞し、殊能将之のデビュー作となった。
私はミステリと呼ばれるジャンルについて詳しくないので本格ミステリとか新本格派とかいわれてもよくわからないが、
著者がかなりのミステリファンであるということはわかった。
そのためか、題材は新しいのだけど全体の空気感は古き良き推理小説という感じ。
作者の殊能将之さんは若くして亡くなってしまったので、作品数は少ない。
発想は面白いけれど叙述ミステリとしてはどうなのだろう。
最後まで飽きることなく読むことができたが、想像を超えるような面白さはなかった。
『殺戮にいたる病』を読んだすぐ後だったので、非常に疑り深くなっておりそれがよくなかったのかもしれない。
いつもより頭が冴えていたのか、序章を読んだ時点で犯人像がはっきりしてしまった。
というのもハサミ男の人物像があまりに曖昧で読み進められなかったので、その一点について熟慮してしまったのだ。
語っている人物がどういう人なのかがイメージできないと、景色も心情もイメージできない。
しかし何度読んでも一人称が「わたし」で小さな出版社で働いているほっぺたがふっくらした人ということしかわからない。
太った男なのか、あるいは女性かというところまで絞って、改めてタイトルについて考える。
わざわざ『ハサミ男』というタイトルをつけたことからも女性である可能性が高い。
極め付けは、第1章に入り目黒西署刑事課の視点に移った場面で、
遺体発見現場(ハサミ男がいるはずの場所)に女性と太った男がいた時点で答えが出た。
しかし最後まで読むには作者の思惑にはまって読むべきだろうと思いハサミ男を太った男に再設定した。
どうか私の想像を裏切ってくれますようにと願うが、やはり「ハサミ男が女性だった」以上の衝撃は用意されていなかった。
アイディアは奇抜なのでもし最後まで騙されて読むことができれば最高に面白かったのではないかと思う。
また叙述トリックの衝撃にばかり捉われなければ、他の題材も盛りだくさんなので十分楽しめるだろう。
死に取り憑かれ繰り返し自殺を試みるハサミ男ともう一つの人格「医師」のキャラクター性。
また殺人犯が犯人を追うという推理小説も珍しいに違いない。
大雑把に述べると衝撃はないがそれなりに面白かったというところに落ち着く。
個人的には本物のハサミ男の殺人の動機を知りたかったな〜。
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