ラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌが日本馬としてブリーダーズカップ初制覇という歴史的快挙から1週間が経った14日は、阪神競馬場で秋の最強牝馬決定戦・第46回エリザベス女王杯(GⅠ・芝2200m 17頭立て)が行われました。大阪杯を圧勝した①レイパパレ、秋華賞を勝った3歳牝馬③アカイトリノムスメ、オールカマーでワンツーの⑨ウインマリリン&⑮ウインキートスの「ウインウインコンビ」、今年重賞2勝⑧テルツェット、ヴィクトリアマイル2着⑤ランブリングアレー、重賞では善戦続き②クラヴェル、もう一頭の3歳世代⑤ステラリアなどが参戦しました。
単勝の上位人気は、1番人気がレイパパレ(2.9倍)、2番人気アカイトリノムスメ(3.4倍)、3番人気ウインマリリン(5.5倍)。4番人気テルツェット(9.6倍)、5番人気ウインキートス(9.7倍)まで一ケタ台。その後はランブリングアレー、ステラリア、⑫デゼル、クラヴェル、⑯アカイイトと続きました。
正面スタンド前でのスタートは17頭綺麗に出揃い、レイパパレが先に行くかと思いきや、⑦シャムロックヒルと⑭ロザムールの2頭が先手を主張。ウインマリリンが3番手につけ、レイパパレは5番手、さらにその後ろにアカイトリノムスメが控えている。アカイトリはパパレとマリリンにプレッシャーをかける狙いだ。ランブリングアレーとステラリアとウインキートスとテルツェットは中団に位置付けた。
1,2コーナーのところで縦長となり、向正面でシャムロックヒルが先頭、ロザムール2番手、3番手ウインマリリン、内側4番手レイパパレ、アカイトリノムスメが5番手。ランブリングアレーと④イズジョーノキセキが6,7番手で並び、9番手グループにはテルツェット・⑬リュヌルージュ・ウインキートス・ステラリアと固まっている。中団より後ろの12番手にデゼル、13番手アカイイト、14番手クラヴェル、15,16番手のところに⑩ムジカと⑪ソフトフルートが並び、最後方に⑰コトブキテティスという体勢。
内回り3コーナーを回り、シャムロックが先頭、3番手のパパレが2番手のロザムールに並び、マリリン外側4番手、アカイトリとランブリングが5,6番手。残り600mでパパレが2番手に浮上し、シャムロックをかわせばあとは押し切るだけ。4コーナー目前にして後方にいたアカイイトが急上昇、ステラリアも大外に持ち出した。
4コーナーを回るところでレイパパレが満を持して先頭。2番手争いはアカイトリノムスメとランブリングアレーとアカイイトが競り合い、アカイトリが挟まれて後退してしまう。その間にアカイイトが脚を伸ばし、レイパパレをかわす勢いだ。残り200mでアカイイトがパパレを捕らえて先頭。後続からステラリア、クラヴェル、ソフトフルート、ランブリングアレーなどが追い込んでくるが、ゴール前抜け出したアカイイトが先頭でゴールイン!ステラリアが2着、3着争いはクラヴェル・イズジョーノキセキ・ソフトフルートと大混戦。レイパパレとアカイトリノムスメは最後に沈みました。
【エリザベス女王杯 全着順】
1着 アカイイト 2分12秒1
2着 ステラリア 2馬身
3着 クラヴェル クビ差
4着 ソフトフルート クビ差
5着 イズジョーノキセキ ハナ差
6着 レイパパレ
7着 アカイトリノムスメ
8着 デゼル
9着 ランブリングアレー
10着 ウインキートス
11着 テルツェット
12着 ムジカ
13着 コトブキテティス
14着 リュヌルージュ
15着 シャムロックヒル
16着 ウインマリリン
17着 ロザムール
単勝 ⑯ 6,490円
複勝 ⑯ 1,180円 ⑤ 650円 ② 810円
枠連 3⃣-8⃣ 2,610円
馬連 ⑤-⑯ 51,870円
馬単 ⑯-⑤ 137,500円
ワイド ⑤-⑯ 9,600円 ②-⑯ 15,440円 ②-⑤ 7,450円
三連複 ②-⑤-⑯ 282,710円
三連単 ⑯-⑤-② 3,393,960円
3歳から6歳までの世代が集結し、レイパパレVSアカイトリノムスメの2強対決と言われていた今年のエリザベス女王杯でしたが、10番人気の伏兵・アカイイトが直線抜け出して優勝。GⅠ初挑戦で重賞初制覇を成し遂げました。2着には7番人気の3歳馬ステラリア、3着には9番人気のクラヴェルが入り、3連単で339万円オーバーの大波乱。4着も11番人気、5着も12番人気と5着までに2ケタ人気だった馬が3頭も来ました。
一方で、1番人気のレイパパレは6着、2番人気のアカイトリノムスメは7着。レイパパレ鞍上のルメール騎手曰く「ずっと引っかかった」という。3,4コーナーで少しバランスを崩す場面も見られ、4コーナーで一旦は先頭に立ったんだけど、最後に沈んでしまいました。2200mは3戦走ったんですが、宝塚記念で3着、オールカマーで4着、エリ女で6着。距離も長いし、徐々に着順を下げていってるなぁ。アカイトリの方は、ラストの直線で不利を受けたのが響いてしまいました。3番人気だったウインマリリンは、ブービーの16着と大敗。レース後には横山武史騎手が下馬してたので、何かアクシデントがあったのでしょうか。
番狂わせを起こしたアカイイトは、栗東・中竹和也厩舎に所属。父はキズナ、母はウアジェトの間に生まれました。キズナ産駒は初めてのGⅠ制覇。阪神JFのマルターズディオサをはじめ、天皇賞春のディープボンド、NHKマイルカップのソングライン、秋華賞のファインルージュと、GⅠ勝ちまであと一歩の状態が続きましたが、ここでようやく初タイトルを掴みとりました。2着のステラリアもキズナ産駒だそうで、同産駒のワンツーフィニッシュとなりました。
鞍上の幸英明騎手は、16度目の参戦でエリ女初勝利。自身のGⅠ勝利も2018年のヴィクトリアマイル以来3年半ぶり。中竹和也調教師も、2018年ホープフルステークスのサートゥルナーリア以来のGⅠ勝ち。馬主の岡浩二オーナーもGⅠ初勝利。九州産馬のヨカヨカが北九州記念を制した後、スプリンターズステークス目前にケガで引退。その無念をアカイイトが晴らしました。
向正面でレイパパレ、マリリン、アカイトリの有力勢が牽制しあう中、アカイイトは後方でじっくり待機。3,4コーナー中間あたりから一気に進出すると、残り200mでレイパパレを抜き去りました。人気になってない分、変なプレッシャーを持たずに走れたのかなって思います。今回の勝利がマグレか実力かは、今後の活躍次第と言えるでしょう。