6月12日に始まった4年に1度のサッカーの祭典「2014 FIFAブラジルワールドカップ」も、いよいよフィナーレを迎えました。日本時間14日早朝、リオデジャネイロのマラカナンスタジアムにて決勝戦が行われました。今大会の決勝は、ドイツVSアルゼンチンという組み合わせ。両国が決勝で顔を合わせるのは、これが3回目。24年ぶりの優勝を狙うドイツは、準決勝で開催国・ブラジルに7-1で大勝。勝てば28年ぶりの世界一となるアルゼンチンは、決勝トーナメント3試合無失点。全世界が注目した頂上決戦は、延長戦までもつれ込む激闘となりました。
両チームのスタメン
<出場メンバー>
[ドイツ代表]
GK 1 マヌエル・ノイアー
DF 4 ベネディクト・ヘーベデス
DF 5 マッツ・フンメルス
DF 16 フィリップ・ラーム
DF 20 イェロメ・ボアテング
MF 7 バスティアン・シュバインシュタイガー
MF 8 メスト・エジル
MF 18 トニ・クロース
MF 23 クリストフ・クラマー
FW 11 ミロスラフ・クローゼ
FW 13 トーマス・ミュラー
[アルゼンチン代表]
GK 1 セルヒオ・ロメロ
DF 2 エセキエル・ガライ
DF 4 パブロ・サバレタ
DF 15 マルティン・デミチェリス
DF 16 マルコス・ロホ
MF 6 ルーカス・ビリア
MF 8 エンソ・ペレス
MF 14 ハビエル・マスチェラーノ
FW 9 ゴンサロ・イグアイン
FW 10 リオネル・メッシ
FW 22 エゼキエル・ラベッシ
ドイツは先発予定だったケディラが、練習中にふくらはぎを負傷。クラマーが代わりにスタメン入り。アルゼンチンはオランダ戦と同じメンバーで臨みます。
前半4分、ドイツはペナルティエリア手前でのフリーキックをクロースが直接狙ったが、相手に阻まれてしまう。その直後にアルゼンチンがカウンターを仕掛け、ラベッシの縦パス→イグアインが抜け出し、PA右からシュートを放ったが、ゴール左に逸れる。前半21分、ドイツのクロースのヘディングでのバックパスが、DFラインの裏にいたアルゼンチン・イグアインに渡ってしまう。イグアインはそのままシュートまで持っていったが、決めきることができません。28分、ドイツは右サイドでシュバインシュタイガーのクロス→ゴール前でミュラーが反応するが、オフサイドを取られる。
前半29分、アルゼンチンは中盤でメッシが右サイドへパス→右サイドのラベッシがクロス→イグアインが左足で押し込んで先制ゴールかと思われたが、オフサイドでゴール認められず。ドイツも37分、左サイドを突破したミュラーのクロス→途中出場・シュールレの右足シュートはアルゼンチンGK・ロメロに防がれた。アルゼンチンはその1分後、自陣からのロングボールに反応したメッシがドイツDFを振り切り、PA右でシュートするが、ゴール前でドイツDFにクリアされた。前半終了間際、ドイツはクロースの右CKをヘーベデスがヘディングで合わせたが、ポスト右に直撃して先制ならず。完璧なシュートだったのに惜しすぎる。
0-0で迎えた後半、アルゼンチンはラベッシに代えてアグエロを投入。すると後半2分、ビリアのスルーパスに抜け出したメッシが左足を振り抜くも、ゴール右に外れてしまう。ドイツも後半14分、右サイドラームのクロス→クローゼが頭で合わせるも、GKにキャッチされた。後半30分、アルゼンチンはメッシが右サイドからドリブルで中央へ切れ込むと、バイタルエリアから左足シュートを放ったが、大きく外れました。ドイツも後半37分、右サイドのエジルがグラウンダーで折り返すと、PA手前にいたクロースのミドルシュートは右に外れた。結局後半も両チーム無得点に終わり、0-0で延長戦を迎えました。
延長戦に入り、先に大きなチャンスを迎えたのはアルゼンチン。延長前半7分、左サイドのロホのクロス→パラシオ(後半33分から出場)が胸で落としてからループシュートを放ったが、ゴール左に外れてしまう。そして延長後半7分、ついに試合が動きます。ドイツは左サイドでシュールレがドリブルで上がってからクロス→ゲッツェ(後半43分から出場)が胸で落としてから、左足ボレーシュートが決まった!ドイツが試合の均衡を破り、1点を先取します。追いつきたいアルゼンチンは、延長後半アディショナルタイムにPA手前でFKを獲得。この大事なFKをメッシが直接狙うも、枠を捉えられず。試合は1-0でドイツが勝利し、4度目の世界一に輝きました。
世界一の座を懸けたドイツとアルゼンチンの一戦は、決勝戦に相応しい熱戦となりました。両チーム共にに決定的なチャンスで得点を挙げられず、90分では決着が付かず。延長戦に入り、ドイツがゲッツェの鮮やかな一撃で先制。この1点を守り切ったドイツが頂点に立ちました。ドイツは1990年のイタリア大会以来4度目のワールドカップ優勝。過去3回は「西ドイツ」で優勝しており、東西統一後では初めての世界一です。そして、「米大陸で欧州勢は優勝できない」という長年のジンクスも破られました。
ドイツを優勝に導くゴールを決めたゲッツェ選手は、後半43分から出場。ピッチに入る前にヨアヒム・レーヴ監督から「自分がメッシより上だと示して来い!」と発破をかけられ、延長後半7分にボレーシュートでゴールネットを揺らしました。レーヴ監督の期待に見事に応え、一夜にしてスーパーヒーローとなったゲッツェ選手は、この試合のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれました。決勝点をアシストしたシュールレ選手も、この大会5試合に出場して3得点。控え組の2人を送り出したレーヴ監督の采配もバッチリ大当たりでしたね。
ブラジルで復権を果たしたドイツですが、その道のりは決して順風満帆ではありませんでした。開幕前にマルコ・ロイスがケガで欠場。2勝1分で首位通過したグループリーグでは、格下のガーナに引き分け。さらにはインフルエンザ集団感染騒ぎもありました。決勝戦では、ケディラが試合前に負傷、代役のクラマーが脳震盪で交代。それでも、チーム一丸でアルゼンチンを破り、世界一に上り詰めました。
チームは7試合で17得点を挙げ、失点もわずか4失点。ポルトガル戦の4得点、ブラジル戦の7得点のゴールラッシュはやばかったです。エースのミュラー選手が5得点を挙げると、W杯通算16ゴールの新記録を打ち立てたクローゼ選手は今大会2得点。守備陣もGKのノイアー選手がスーパーセーブを連発し、完封勝利も4試合ありました。そんなノイアーは、最優秀GKの「ゴールデングローブ賞」を受賞しました。レーヴ監督になってからは、EURO2008で準優勝、南アフリカW杯で3位、EURO2012でベスト4と好成績を残し続け、ブラジルW杯で優勝。8年間の努力が報われましたなあ。レーヴ監督は2年後の欧州選手権まで指揮を執ることが決まっています。ドイツの常勝時代はまだまだ続きそうです。
ブラジルワールドカップも閉幕し、アルゼンチン代表のメッシ選手が大会MVPの「ゴールデンボール賞」を受賞。出場7試合で4得点を挙げ、マンオブザマッチにも4度選出された事が評価されました。ただ、決勝トーナメントでは無得点だったので、MVPには納得できないですね。大車輪の活躍で母国に世界一をもたらしたなら文句ないけど。
大会得点王の「ゴールデンブーツ賞」には、6得点を挙げたコロンビア代表のハメス・ロドリゲス選手が受賞。出場5試合で全て得点を挙げ、日本戦で1得点、ウルグアイ戦で2得点を挙げてベスト8入りに貢献しました。今大会最もブレイクした選手といえるでしょう。コロンビア代表は「フェアプレー賞」も受賞しています。スニガが膝蹴りでネイマールを骨折させたのに何故だ!?
次回の2018年のワールドカップは、ロシアで開催されます。ブラジルで惨敗した日本代表は、4年後の大会も出場できるのだろうか?