12月8日は阪神競馬場で2013年の2歳女王決定戦・第65回阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ・芝1600m)が行われ、重賞ウィナー&素質馬が集結。同じ日には香港・シャティン競馬場で「ロンジン香港国際競走」があり、ロードカナロアが「香港スプリント」の連覇に挑み、トウケイヘイローが「香港カップ」に出走しました。
第65回阪神ジュベナイルフィリーズは、新潟2歳ステークス以来のレースとなる⑩ハープスター、札幌2歳ステークスを勝った⑧レッドリヴェール、重賞2勝の⑱ホウライアキコ、函館2歳Sの勝ち馬⑫クリスマス、アルテミスステークス覇者⑬マーブルカテドラルと今年の2歳重賞の勝ち馬5頭に加え、2010年の優勝馬・レーヴディソールの妹①レーヴデトワール、デビュー2連勝の⑥フォーエバーモアが参戦しました。
スタートで目立った出遅れは無く、好スタートを切った⑤ニホンピロアンバーが先手を取り、2番手のところに⑭スイートガーデンと⑰ダイヤモンドハイが並走し、4番手に④メイショウアサツユ、フォーエバーモアとホウライアキコが5,6番手の位置につける。少し離れた中団グループには、7番手⑨エクスペリエンス、レッドりヴェール8番手、9番手②トーセンシルエット。マーブルカテドラルが10番手。11番手集団にはレーヴデトワール、⑯モズハツコイ、⑦マジックタイムの3頭が並び、その後ろの13番手グループにはハープスター、⑪ヤマニンアリエッタ、⑮グランシェリーの3頭が居る。後方はクリスマス17番手、最後方に③マイネグラティアが追走する。
外回りの3,4コーナー中間点を過ぎ、先頭を行くアンバーは前半の800mを46.3秒で通過。2番手のダイヤモンドハイが外から並びかけ、アキコが4番手に浮上。デトワールとリヴェールはまだ中団、ハープは馬群の中。4コーナーから直線コースに差し掛かり、先頭争いでは、ダイヤモンドハイが先頭に立つが、内からスイートガーデン、外からホウライアキコとフォーエバーモアが接近。大外からレッドリヴェール、さらに馬群の中からハープスターもやって来た!残り200mを切り、今度はフォーエバーとアキコの叩き合い、外からリヴェールが迫り、ハープも伸びてくる!そしてゴール前でフォーエバーモア、ハープスター、レッドリヴェールの3頭が並んでゴールイン!外のリヴェールが差し切ったか?真ん中のハープが逆転か?内のフォーエバーモアは最後下がって3番手で入線。
3頭が並ぶ大接戦となった今年の阪神JFは、写真判定の結果、レッドリヴェールが1着、単勝1.7倍の圧倒的1番人気に支持されたハープスターはハナ差の2着惜敗。上がり3ハロン33.6秒の末脚で馬群を割って追い込んできましたが、あと一歩及ばず。それでも「負けてなお強し」という感じだったので、来年のクラシックが楽しみです。3着にはフォーエバーモアが入り、3蓮単「⑧-⑩-⑥」で42,130円という配当でした。2番人気だったホウライアキコは7着、3番人気・レーヴデトワールは9着に終わりました。
デビュー3連勝で2歳女王に輝いたレッドリヴェールは、父・ステイゴールド、母・ディソサードという血統。重賞勝ちは札幌2歳ステークスに続いて2勝目。ステイゴールド産駒が2歳GⅠ競走を勝ったのは、2006年の朝日杯FSのドリームジャーニー以来だと思います。それにステゴ産駒から初めて牝馬のGⅠ馬が誕生です。鞍上の戸崎圭太騎手は約2年半ぶりのGⅠ勝利で通算2勝目、JRA移籍後は初制覇。リヴェールを管理する須貝尚介は同レース連覇となります。強敵に競り勝ち、無敗でGⅠタイトルを獲得したレッドリヴェール、来年に向けて大きな自信がついたことでしょう。
ここからは香港国際競走の話題に行きましょう。
「香港スプリント」は、これが引退レースとなる①ロードカナロアをはじめ、香港短距離界のエース②ラッキーナイン、⑧チャールズザグレート、⑤イーグルレジメント ⑪リッチタペストリー、⑫スターリングシティーら香港勢、アイルランドの⑦ソールパワーと⑥スレイドパワー、イギリスの⑭ジュワラなど14頭が出走しました。
スタートでラッキーナインとタイムアフタータイムが出遅れたのに対し、ロードカナロアは好スタート。先行争いからリッチタペストリーと⑬ゴーベイビーゴーがレースを引っ張り、3番手以降は⑩セリースチェリー、チャールズザグレート、ロードカナロア、ジュワラ、④ジョイアンドファンと続き、順位がごろごろと入れ替わる。あとは9番手に⑨フレデリックエンゲルス、スレイドパワー、ソールパワー11番手?ラッキーナインとスターリングシティ、タイムアフタータイムは後方に控えている。
14頭が一団の状態で第4コーナーを回って直線コースへ。カナロアは馬場の真ん中に持ち出して4,5番手。残り400mでタペストリーが先頭だが、残り300mを切ったところでロードカナロアが先頭に躍り出る!残り200mで一気に独走ぶっちぎり!最後は馬なりの状態でゴールイン!『龍王』ロードカナロアが香港スプリントを連覇し、自らのラストランを圧勝で飾りました!
メイン競走の「香港カップ」は、⑧トウケイヘイローの他にも、香港現役最強馬①ミリタリーアタック、香港ダービー馬④アキードモフィード、2012年のドバイシーマクラシックを勝っている②シリュスデゼーグル、前哨戦のジョッキークラブカップを勝った⑤エンダウイング、GⅠ4勝の実績を持つアメリカ馬③リトルマイクなど14頭が出走しました。
スタンド前からのスタートで、好スタートを切ったトウケイヘイローがいつも通り先手を奪い、⑪セイムワールドが2番手追走。リトルマイクが3番手、4番手にシリュスデゼーグル、5番手にアキードモフィードと続く。6番手に⑦ニアティコ(ドイツ)、7番手に⑥グランドール(英国)、8番手⑨サイドグランス(英国)。ミリタリーアタックとエンダウイングの香港勢2頭は後方追走という展開。
先頭をひた走るトウケイは、前半1000m65秒台というスローペースで逃げ、セイムワールドとリトルマイクが差を詰めにかかる。後続にはアキードモフィードもいて、強敵を引き連れたまま3,4コーナーを回って最後の直線へと差し掛かる。内からアキード、外からシリュスデゼーグルが迫るが、まだトウケイヘイローが逃げ粘っている。このまま逃げ切れるかと思われたが、ラスト50mでアキードモフィードにかわされて2着でゴールイン。終始先頭をひた走り続けてきたトウケイヘイローでしたが、最後に力尽きました…。
日本勢が3頭も参戦した「香港国際競走」は、ロードカナロアが香港スプリントを制して2連覇を飾り、「香港カップ」に出走したトウケイヘイローは惜しくも2着。完璧なレース運び、マイペースで逃げ続け、このまま上手く粘りきれるかと思いましたが…。でも、初めての海外GⅠで2着は上出来だし、来年春の「クイーンエリザベス2世カップ」に参戦すれば、たぶん勝つチャンスはあると思います。アスカクリチャンは「香港ヴァーズ」に挑戦しましたが、7着に終わりました。
アウェーで連覇を果たしたロードカナロアは、ラストランで最高のパフォーマンスを披露。ラスト300mで抜け出し、あとは一人旅。最後は2着に5馬身差の圧勝でした。こんなド派手な勝ち方をしたのに、今回を以って引退だなんてもったいない気がします。でも、強いままターフを去るのもカッコいいと思います。今年はGⅠ4勝、海外の大レースにも勝っているから、年度代表馬はもう決まりですね。短距離GⅠ通算6勝は不滅の記録だろうし、カナロアを超えるスプリンターは到底現れないでしょう。今後は種牡馬になるとの事で、GⅠ馬を多く輩出できるといいですね。ロードカナロアこそ「世界最強スプリンター」であり、日本が世界に誇れる偉大な名馬でした。今まで本当にお疲れさまでした!