どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

東映動画まつり2020 @ユジク阿佐ヶ谷(4)

2020年01月29日 22時30分00秒 | イベント・ライブ
「わんぱく王子の大蛇退治」終映後、ただちにロビーへ移動!

お楽しみである、小田部羊一さんのトークイベントです(^_^)

お話しを聞くのは今回で3回目ほどになりますが、本当に穏やかな紳士という感じで、とても和やかな空気に包まれるんです(*^o^*)

「わんぱく王子〜」は小田部さんが入社して2〜3年ほどの時、「動画」としてクレジットされているが、実際は「原画」として参加した想い出深い作品で、シネスコのワイドスクリーンで大きく映し出されることを強く意識して臨んでいたそうです(逆にTVアニメの時代は画面も小さいし誤魔化しも効くと思ったし、リテイクも大かた目をつぶっていたと)。

今回デジタルリマスター版をみて、あまりに鮮明で細かい粗までみえて冷や汗ものだと(^_^;

当時の東映動画はあらゆる作画から撮影まで部署が一箇所に集まり、まさにアニメの工場という感じで、楽しかったし色々と教わりもした。「わんぱく王子〜」は最初「虹のかけ橋」というタイトルだったが、格調高すぎて判りやすいタイトルになったと(これは「太陽の王子ホルスの大冒険」が企画当初「チキサニの太陽」だったことと同じですね)。

極彩色に溢れた日本画調の美しい背景は、美術の小山礼司さんの熱い想いで実現されたものだそうです。

キャラクターデザインは森やすじさんを中核とし、スタッフ皆でアイデアを出し合ったものですが、方向性としては埴輪をモチーフにしたとのこと...観ているこちら側としては自然に受け止めてますが、この作品で古代日本のイメージが定着したとも言えますよね。

制作にあたって、ディズニーを代表する西洋の「マス」(塊)に対し、東洋の「フォルム」(平面)を念頭においてデザインを進めていったとのことですが、今回の鑑賞で物凄く仰る意味が伝わってきた気がします。立体的な奥行き感ではなく、絵巻ものや屏風絵のような端正な世界観...川でイザナミがスサノオの身体を洗う美しいシーンが脳裏に浮かびます(^_^)

小田部さんが抱く「わんぱく王子〜」のイメージは串団子らしく、小さな場面(エピソード)一つ一つが塊で、それを串で繋いで一本の映画にしている...確かに元となる「古事記」は当時に起きた様々な事件や政治的な出来事を神話としてアレンジしている感があって、スサノオがツクヨミやアマテラスに会いにいく時の物々しさと警戒する様子は、どこか異様で穏やかでない雰囲気がありますし、本作にもそれがありありと映し出されています。

やはりクライマックスである八岐大蛇との格闘で、月岡貞夫さん、竹内留吉さん、彦根範夫さん達と一緒に創り出していったのが思い入れが深いと...。天翔る白馬アメノハヤコマも最初はもっとリアルな馬のフォルムだったが、ブラッシュアップしてシンプルなデザインになっていったそうです。

本作が世界に与えた影響で、現在の作品「サムライジャック」や「ロングウェイノース」があり、特に「サムライ〜」のアクションにそれを強く感じる...東映動画はスタイルではなく、方向を示したのだと。

60年近く経っても決して古くない...温故知新とも言えますし、小津安二郎さんも言う「古いくならないことが新しいことだと」に通じますね(^_^)

そんな中からタネを見つけて欲しいという小田部さんのメッセージでトークイベントは締めくくられました。

流行を追いかけるようなものは、結局は二匹目三匹目のドジョウを追うことでしかなく、アッと言う間に廃れて消えていく...東映動画の名作群(特に昭和30年代のもの)はそんなものに囚われていませんし、後世にキチンとした形で遺し伝えていく文化だと思います。

いいお話しが聞けて、今回も嬉しく大満足です(*^o^*)



この世界の(さらにいくつもの)片隅に、公開1ヶ月前トーク

2019年11月16日 23時39分00秒 | イベント・ライブ
山本さんも何度も強調されてましたが(笑)、今度こそタイトル通りのイベントに(*^o^*)

前回はプロデューサーの真木さんが平謝り...ある意味で面白かったし、作品のクオリティアップのためならばファンも納得でしたので、もちろん冷ややかな空気になんてなりゃしません(^_^)

今回のトーク出演者は全てキャストさん、その上みな女性なので女子会だということで。

左から新谷真弓さん(北條サン役、兼方言監修)・尾身美詞さん(黒村径子役)・岩井七世さん(白木リン役)ですが、岩井さんは17年の感謝祭以来2年ぶりとなりますね。

岩井さんは「さらにいくつもの」において大幅な出演場面増加だし、準主役クラス昇格ぽい感じなので、以前に増して嬉しそうだったし、トークでの発言も積極的でした(^_^)

やはり桜の木の場面は一番印象に残ったとのことで、あのシーン含めて追加部分がもたらす影響は既存の見慣れていた筈の場面をも印象をかえてしまうインパクトがあると...。

尾身さんも「小松菜」のシーンで声の調子が変わったように聞こえるかもしれないが、あれば敢えて監督指導で自慢げ加減を強調したためだと釈明(笑)

そのシーンと台詞は予告編にも入ってますし、先行上映版でも拝見しましたけど、あまり違和感ありませんでしたけどねぇ...むしろ落ち着きさえ感じましたが。

今回も方言監修とキャストさんへの指導は大変だったみたいで、新谷さんは完全にスタッフ側の意識になって話されていたみたいで、最後の最後で自分もキャストの一人だったんだと気づいていたのが可笑しかったです(*^o^*)

1時間半ほどのイベントもアッと言う間、今回もホッコリ暖かな空気感に包まれた良いイベントでした!

帰りは同行した友人と駅前の喫茶・アンデスに(^_^)

セットメニューの焼肉とコーヒーで一息。

そうしたら友人は12日(火)のテアトル新宿の3周年記念上映に行ってたみたいで、その時配布されたクリアファイルを!

仕事の都合で行けなかったし、クリアファイルの件もTwitterのTLで知っていましたが...なんとそれを呉ると、いやくれると!(゜Д゜)

自分が持ってても仕方ないし、関連グッズ集めているの知ってるからと...ありがとう友よ(´;ω;`)

裏面は呉氏とレモンじゃのコラボで、構図がパロディになっていて楽しい図柄になっているんですよね。

いや〜思わぬプレゼントにホクホクしてしまいました(*^o^*)



再び高畑勲展へ

2019年09月22日 17時53分00秒 | イベント・ライブ
開催初日に行って以来だから、もう二ヶ月半ぶりにもなるのか...。

友人が見てみたいというので、それをキッカケな感じで同行。

土曜日だけど、もう開催されてからずいぶん経つからそんなに混んでないだろうと思っていたら、さに非ず!すごい混雑という程じゃないけど、想像以上に観覧客でいっぱいの会場で驚きました(^_^; 朝ドラ「なつぞら」もそうだろうし、NHK「日曜美術館」やBS日テレ「ぶらぶら美術・博物館」などなどメディアでも紹介されているし、やはり影響は大きいもんですねぇ...。

今回は前回以上にタップリ堪能しました。坂場一久役・中川大志くんの音声ガイドの代わりを務めていた次第(^_^;

やはり「太陽の王子ホルスの大冒険」の濃密さは素晴らしい...前回ではネタバレになるので触れませんでしたが、もうTVで紹介されちゃってますので書きますが、企画段階で当時まだ新人アニメーターの域だった宮崎駿さんのグイグイぶりがビンビンなんです(*^o^*)

個人的な白眉はなんといってもコレですね!「パズー」「シータ」「飛行石」なんて書いちゃってる...なるほど、宮崎さんにとって「天空の城ラピュタ」の原点だったんだなぁと改めて実感させられましたね。

同行した友人は男鹿和雄さんによる「おもひでぽろぽろ」や「平成狸合戦ぽんぽこ」での里山が描かれた背景美術に大きく惹かれ、


額装にして飾りたいくらいだよなぁと気に入っていっている様子でした(^_^)

13時チョイ過ぎに入館し、「かぐや姫の物語」に到達したころ時計を見たら17時近くに...優に3時間半以上にもなっていたのか!? Σ(゜Д゜)

やはり情報量が膨大で、どのコーナーも見入っちゃうし、読み込みたくなってしまう...まさに時間を忘れるって感じです。

当日は19時から吉祥寺・一日での小田部羊一さんトークイベントも参加予定で、余裕をもってスケジュールを立てていたつもりでしたが、あまり余裕がなくなってしまった...。

ちょっと駆け足気味に東西線に飛び乗って吉祥寺へ向かいました...(^_^;



Perfume、ファンにとって極上の空間に(*^o^*)

2019年09月16日 18時50分00秒 | イベント・ライブ
恵比寿で映画鑑賞したあと、気になっていた渋谷タワーレコードに。

そう!Perfumeコラボカフェでございます(*^o^*)土曜日だし、混み具合がちょっと判らないままでしたが、タイミング良ければ入っちゃおうと。

時間枠を設けた形で、次の入場時間は16時半...現着は15時過ぎで1時間以上待つことになるけど、まぁせっかく来たんだし、良いかというワケで整理券を。

カフェ入場口はレジカウンターのあるエスカレーター側と反対方向にあるエレベーターホール側。

幸いなことに喫煙所もあり、時間つぶしに不自由なく助かりました(^_^)

これまでPerfumeコラボカフェはチョイチョイ開催されてましたが、実際に足を運んだのは COSMIC EXPLORER 発売記念の時以来で約3年半ぶり...なんだか今回のは行きたくなったんですよねぇ(^_^;

喫煙所で一服していると、前の回で食事してきたらしい30代の男性二人組がいて「いや〜ライブ行きてえ...次は2月か」「東京ドームの二日とも申し込んじゃったよ、どっちも当たったらキツいなぁ(^_^;」などなど、まぁファンなら同じこと考えるよねぇ!と内心ニヤニヤして聴いてました(*^o^*)

そうこうしている内に時間も過ぎ、開始時間20分前に入場口に並びます。とりあえず列のトップでした(^_^;

店員さんがメニューをもって配りはじめ、注文を先に決めておいてくださいと。いや〜もうどれにしようか悩みどころです...。

10分くらい前にiPadみたいな端末を携え、注文を(何を頼んだかは後述)。

時間になったところで、ランチョンマットをもらい、席に案内されました。並んだ順は有効だったみたいで、お一人様席の一番良い席、ライブ映像が映し出されているスクリーンの一番前に(^_^)

自席からの店内の眺め...。


配布されたランチョンマットをテーブルに(汚したくないのですぐに仕舞いましたけど(^_^;)。

注文は「FOOD」「SWEETS」「DRINK」各1種ずつ、順番はお店まかせなんだそうです。

来た順に...「FAKE IT」

「Dream Fighter」

「Magic of Love」

値段なんか気にしても仕方ないのですが、それぞれなかなかのボリュームでございましたよ(^_^)

それよりもなによりも来ている皆さんマナーがしっかりしていて、騒がしいこともなく、それぞれが Perfume 感タップリの店内を静かに楽しんでいるようで、同じ気持ちが通じていて、とても快適な空気感を創り出していましたね(*´д`*)

客層はやはり20〜30代の男女が中心でしたけど、私くらいの年齢高めな人もチョイチョイ見かけた。小学生くらいの子供がいる家族ずれも何組か...。

私の近くの席にいた40代くらいのお母さんと中学生くらいの息子さんと思われる二人連れがちょっと印象深かったです。熱心にスクリーンに見入っていたな(^_^)これくらいの子から見る Perfume ってどんなイメージなんだろう...。まぁキレイなお姉さんには間違いないけど、自分が中学生の時に30歳くらいの女性のファンになるなんて想像もできなかったよなぁ...とかね(^_^;

スクリーンからは「7th Tour FUTURE POP」のライブ映像が流れ、何度も見ているのに新鮮な感じがして、私も含め皆静かにノリノリになっているのが伝わってくるんですよ...同じものの好き同士の集まり...あぁなんて極上の空間だんだろう...(´д`)

食事も一通り終え、しばらくして店員さんが特典のポストカードを持ってきてくれました、

もちろんゲットできて嬉しかったけれど、オーダーシートの記載がちゃんと曲名表記されていて、なんだか一番記念になった感じ(*^m^*)

とても気分良く過ごすことができました...名残惜しかったけど、ライブでは「スパイス」が流れている中、席を立ちました。

コラボメニュー第二弾は18日(水)からか〜また機会あったら来たいな〜(´д`)

渋谷駅前の屋上大スクリーンには BEST ALBUM「Perfume The Best “P Cubed”」のスポットが流されていました。YouTubeでも見ることができますが...。

これまでのアルバムジャケットと、衣裳着装をメンバーそれぞれが再現していて素晴らしいですね!(*^o^*)...こういうの見たかったんだよなぁ...来年のドームで昔の衣裳でやってくれないかな〜とか妄想しつつ、帰途についた次第です(^_^)



今日は...

2019年09月14日 23時59分59秒 | イベント・ライブ
恵比寿と渋谷に行って

ステキな映画を観、オシャレなカフェを楽しんで帰ってきたのでございます...写真だけで判る人には判る(*^o^*)

...で、夜戻ってからその感想を...と思っていたら、この数日の寝不足がたたったのか、一気に睡魔が襲ってきて、気づいたら深夜になってしもうた...(´д`)

なので、映画とカフェの感想は次回にて〜(^_^;



小田部洋一さん、トークイベント(3)

2019年08月14日 21時50分00秒 | イベント・ライブ
前回からの続き、トークもたけなわ!小田部さんも時代考証として参加されている連続テレビ小説「なつぞら」についてのお話しです(^_^)

ちなみに写真のポスカはササユリカフェ「かりや展」で頂いたものです(*^o^*)

二年前、5ヶ月ほど入院したのだが、その退院直後に東映から「今度NHKでドラマをやるそうなのだが、協力してくれないか」と電話があった。自分も病気したばかりだし、もっと相応しいのは大塚康生さんだと思ったが、年齢的に難しいと。

時代考証なんて、なんだか偉そうだし怖くてやりたくないと思ったが、他の人もできない様なので引き受けることに...。

特にエンピツの扱いなどは重要だと考えた。ドラマが始まって色々な人からアレが違うコレが違うと指摘されるが(笑)、自分としてはデタラメでなければ程ほどで良いと考えている。

実際にNHKのスタジオにも行って、セットも確認し、机やテーブルなどもスチール製のものがあれば当時は木製と指摘、NHK側は意見を受け入れキチンと対応してくれて、安心した。

太鼓判...とまではいかないが、台本も事前チェック、放送されたものを見ると俳優もスタッフも歯車が回っていて深みさえ感じることもある。


ここで小田部さんが個人的に招待したと思われる同年配のご婦人お二人から「えぇ〜っ!」とのツッコミが(^_^;...どなたかは何となく察しますが、憶測になるので伏せておきます。

ヒロイン・広瀬すずさんが奥山(玲子さん)を演じているのが嬉しくて、それだけでも良かったなぁと。彼女のことは映画「海街diary」の頃から知っているし、ファンで(笑)、毎回楽しみにしている。事前にテープも貰っているが、放送されているのを見たくて、BSも地デジもドキドキしながら見ている。仲さんとかどうなるのかなぁとか...とにかく愛情を感じている。

「海街〜」のタイトルをサラッと口にされるとは...本当にファンなんですねぇ(*^o^*) 小田部さんとしては内容はさておき、広瀬すずさんを毎日見ることができるのが幸せみたいです(^_^;

トークイベントは45分くらいでしたが、楽しくてアッと言う間でした!アニメ業界そしてゲーム業界においても大きな足跡を遺す人物(もっとアグレッシブで濃ゆい感じの人かと勝手に想像してました(^_^;)にも関わらず、控えめで穏やかなお人柄で...今さらながらファン度が強くなっております(*^o^*)

そして最後に締めのお言葉は「太陽の王子ホルスの大冒険」への想い...。

自分にとってアニメ魂のスタートであり、大変さを乗り越え根性もついた作品として、とても印象深いものだ。

これ以上のコメントはないですね!ありがとうございました(*^o^*)



小田部洋一さん、トークイベント(2)

2019年08月13日 21時55分00秒 | イベント・ライブ
前回からの続きです。

お姿については撮影不可だったので、開始前に用意された椅子を(^_^; 向かって右に小田部さん、左に東映アニメーションの近藤さんが座ってのトーク。背後はユジク阿佐ヶ谷名物の壁一面に設置された黒板で、上映作品にちなんだイラストなどが多色のチョークで描かれます。当日は台湾映画をテーマにしたものでした。

さて、小田部さんのお話しは東映動画に入社して、最初に関わった作品「少年猿飛佐助」(昭和34年公開)へと...。

まだ奥山(玲子さん)を知ったのは「安寿と厨子王丸」(昭和36年公開)の時で、彼女は第一原画で自分は第二。チェックを受ける立場だったが、彼女はアニメーターとして自信満々という感じで、描いたのを見てもらった時、裏返しにして確認したりしてビックリ...意地悪だなぁと思った(笑)

朝ドラ「なつぞら」でも該当シーンがありましたけど、デッサン狂いがないかの確認で良くやる方法なんですよね(^_^;)

たいていは自己チェックで頻繁に確認します。裏返すと気づかない歪みが見えたりして、簡易に補正できるんです...決して意地悪でやったことでは無いと思いますが、イキナリ他人にやられると...まぁ気分が良いもんじゃありません(^_^;

当時現場は6〜7人の班に分かれていて、彼女は森(康二さん)班だったと思う。自分は楠部(大吉郎さん)の班だった。当時は長編作品を1年に1本作るペース。そのうち2班体制となり、森班は「わんぱく王子の大蛇退治」(昭和38年公開)、大工原(章さん)班は「少年ジャックと魔法使い」(昭和42年公開)へと。

自分は森班を選択し、当時「わんぱく王子〜」で助監督だった高畑(勲さん)も知る。


そして、お話しは「太陽の王子ホルスの大冒険」の製作当時の核心へと...。

スタッフとして参加することになり、キャラクターデザインも公募され、自分はポトムやルソンが採用された。高畑さんはデザインだけではなく、ストーリーも公募した。

たくさん絵を描いて、壁に貼って検討会をした。自分も難航したヒルダのデザインを描いてみたりもしたが、ドラマのように取捨選択するのではなく、いろんな人が描いたデザインの良いところを組み合わせて、作画監督の大塚(康生)さんが統括し最後にまとめ、全員が参加しているという平等制を感じた。

ちなみに奥山は全部一人でやらないと不満を感じる中央集権的な性格で、仕事も宮崎(駿)さんに次ぐ量をやっていたと思う。


宮崎さん・奥山さんともに、そうとうアグレッシブに取り組んでいたようですね...穏やかそうな小田部さんはタジタジして見守っていたのかな(^_^;

東映動画としても長編作品は難しくなってきている時期で、高畑さんは「ホルス」一作のみで終わりになるのではないかという危機感で仕事に臨んでいた。従来の作品のような単に楽しいだけではなく、登場人物がどんな気持ちでどんな動作をするのか一つ一つ丁寧に考えていた。

高畑さんは自分たち作画マンに多くのことも教えてくれた。剣の素材や、衣服や靴に至るまでどんな風に作られているかまで...。

人や動物のモブシーンも多かったし、ホルスの冒頭船出シーンなどリアルな描写で苦労したが、キャラの気持ちを動きにすることを意識するようになり、その後の仕事はホルスに比べたら...と思うようになった(笑)

「ホルス」の完成後も多くの人に観てもらいたくて、自分達でガリ版刷りのチラシを作ったりして一生懸命頑張った。


小田部さんのお話しぶりは穏やかながらも製作の渦中にいたこともあって、その空気感を色濃く感じとれました。高畑さんの演出...その考え方と方法は決して独りよがりではなく、キャラの演技やシーンの描き込みも具体的な提示をもってスタッフと共有し、無理なく構築していった様が想像できます。

スケジュールを守らないとか予算大幅超過というマイナス面ばかり取り上げられることが多いのですが、やはり現場では納得のいく濃密な時間を作り上げていたようですね(^_^)

この後は今話題(?)の朝ドラ「なつぞら」に時代考証として関わるエピソードをお話しされました(^_^)

その内容は次回に〜。



小田部洋一さん、トークイベント(1)

2019年08月12日 20時35分00秒 | イベント・ライブ
ユジク阿佐ヶ谷「太陽の王子ホルスの大冒険」上映後、ロビーに移動して、予定通りトークの始まりです(^_^)

冒頭「写真・動画の撮影はご遠慮ください」とのことでしたので、以下メモ書きをもとにしての書き起こしとなります(聞き間違いや聞き漏らしあるかと思いますが、予めご容赦ください(^_^;)

司会・進行は東映アニメーションの近藤さんで、小田部さんに質問する形でトークが進められました。

▼「太陽の王子ホルスの大冒険」を今改めて鑑賞しての感想
今年6月に行われたアヌシー国際アニメーション映画祭でも上映された。今でも観る度に(高畑勲)監督の力がわかってくる...当時、演出意図の汲み上げもスタッフとして頑張ってやったつもりだが、不十分だったと感じる。でもその時において力を出し切ったと思うし、恥ずかしくはない。

高畑さんの指向するストーリー展開と、キャラクター造形・演技...そして当時としてはあまりに深く微細に切り込んだ圧倒的な世界観をビジュアルとして表現するのがどれだけ大変なことだったことか...今の視点で見れば善悪に揺れるヒルダのイメージを浮かべることは容易でも、無から造り上げるのがどれほど困難を伴ったものだったか...一言一言に重みを感じます。


▼小田部さんにとってのアニメ人生とは
幼い頃から漫画や漫画映画が大好きでいろんな物を観ていた。戦後になって映画作品としての漫画映画の良さを改めて意識しはじめ、東映動画の長編漫画映画「白蛇伝」も期待してみた。ちょうど大学卒業の一年くらい前で、映画館は小金井、吉祥寺...あるいは新宿だったか...。ロシアの「せむしの仔馬」なんかと比べるとまだまだだなぁとか生意気なことを思っていたり(笑)

雪の女王」(アナ雪じゃないよ(^_^;)なんかもそうですが、この時代のロシアのセルアニメーションは技術も表現も完成度が高く、「白蛇伝」と比べるのは可哀想なくらい違います...。

そして東映動画に入社(昭和34年)したが、入ったは良いがアニメの作り方は全く解らなくて...大学では日本画を学んでいた。でもエンピツで書かれる原画の線がなんてチャーミングなんだろうと感心した。学校(東京芸術大学)での同級生に漫画もアニメも興味もつ人など誰もいなくて恥ずかしかった...当時の美術系の就職先といえば中高の美術教師くらいしかなくて、アニメやろうなどと誰も考えもしなかった時代だった。

昭和30年代でアニメを仕事にしようという感覚...誰も理解できなかっただろうし、そもそも仕事として成立するのか?と怒られてしまいそう(^_^; 私の時代(昭和50年代)でさえ怪訝な目で見られたんですから、その時代の空気感は段違いに理解不能だったと思います。

そして動画マンとしての初仕事は「少年猿飛佐助」、そして朝ドラ「なつぞら」のモデルであり、生涯のパートナーとなる奥山玲子さんの出会い...そのエピソードは次回にて(^_^)



かりや展へ

2019年08月06日 21時05分00秒 | イベント・ライブ
ユジク阿佐ヶ谷にて「飄々〜拝啓、大塚康生様〜」と「白蛇伝」を鑑賞した後、総武線で二駅となりの西荻窪へ移動、ササユリカフェにて開催中の刈谷仁美さんの個展を見に行きました(^_^)

こちらのカフェには「この世界の片隅に」公開直前の2016年10月30日に行われた「マイマイ新子と千年の魔法」Blu-ray発売記念イベント以来のこととなります。

元ジブリのアニメーター・動画チェッカーとして著名な舘野仁美さんが独立して開業したカフェなんですが、駅前の小さなビルの4階に素敵でオシャレな空間が広がっていて...(*^o^*)

通常は店名の通り、食事とお茶が楽しめるカフェなのですが、時折アニメ関連のイベントを行っていて、今回の「かりや展」もその一貫となります。

「かりや展」はタイトル通り、刈谷仁美さんという若きアニメーター。

弱冠22歳にして、凄い才能と仕事をこなす人...その仕事振りを垣間見るような個展でした...。

学生時代に描きためたポートフォリオも圧巻です...私も仕事柄、専門学校生の作例を審査することがありますけど、こんな才能に出会ったら舞い上がるに違いない(^_^;

ファイリングされている、あの絵もこの絵も活き活きとして躍動している...絵を描くことが好きで堪らない気持ちではち切れそうになっていた...(´д`)

現在NHKで放送中の連続テレビ小説「なつぞら」のオープニングアニメは彼女の手によるもので、その複製原画も展示され、指パラで確認できちゃいます(^_^)

ドラマの主人公・奥原なつをイメージしたスケッチ集なんかも...。

才能に対しては年齢の上下は全く関係なく、素晴らしいタッチの数々に敬服しっぱなしになってしまいました(*´д`*)

以前、NHK「あさイチ」で特集された取材に応える刈谷さんと舘野さんです。

刈谷さんは元々舘野さんのお店に常連みたいな感じで通い、知己の関係になったようですが、刈谷さんの才能を見込んで、ドラマ内のアニメパート制作の監督に大抜擢したとのこと...。

確かに主人公・なつと重なるイメージですよね(^_^)

そして舘野さんと刈谷さんの素晴らしい師弟関係も肌で感じることのできる個展でもありました!

その舘野さん、伺った当日もカフェの仕事をこなしつつ、店内の一角に作画作業用スペースを陣取り、黙々と修正作業をされてました...立ち上るオーラが凄くてビンビン響いてきましたが、堪らずちょっとだけご挨拶させていただきました。

気さくに応じていただきましたが、納期が間に合わない状態でかなりカツカツな状況とのこと...。あれだけ立て続けに複数の劇中作品を作り出しているワケですから、その作業量は想像を絶します...。

訪れる直前にはこんなTweetも...。

本当に頭が下がる思いです...(´д`)

穏やかにお話し下さいましたが、真摯で厳しく仕事に向き合うエネルギーを確かに感じ取れた...。

毎回楽しみにしています、頑張ってください、と通り一遍のつまらない言葉だけ残して、お店を後にしました...頑張ってるのは当たり前じゃないかと自分突っ込みしたりして...。

そうそう!店内には「なつぞら」関連グッズもいっぱい取りそろえてあり、記念に何か買おうと迷いましたが、チーズケーキとミントガムを購入。

商品購入一点ごとに特製ポストカードがもらえます。入場料替わりのドリンクと合わせて、三枚いただいた次第(^_^)

なにか...形ではない良いものをいただいたような気持ちで帰路についた次第です(*^o^*)

続けて翌日4日(日)は再びユジク阿佐ヶ谷で「太陽の王子ホルスの大冒険」鑑賞と、ドラマで東映動画時代の考証で関わっていらっしゃる小田部洋一さんのトークイベントです!!



高畑勲展へ(2)

2019年07月04日 21時28分00秒 | イベント・ライブ
前回に引き続いて、購入した展示会場グッズをご紹介(^_^)

写真一番手前の右側が手ぬぐい(各1700円)4種。それを囲むようにクリアファイル(各400円)3種。

ど真ん中に立っているパパンダ(900円)はおみくじ仕込み(^_^)

その背後にメモ帳(各450円)3種。

一番奥の右側がポストカード(各200円)3種。左側が和紙封筒セット(各350円)3種。

いずれも高畑作品「狼少年ケン」「太陽の王子ホルスの大冒険」「パンダコパンダ」「赤毛のアン」と、因んだもので...まだまだ色々あってチョイスに悩みましたが、今回はこんな感じでございます(*^o^*)

展示内容についてはテーマ毎に今後もチョイチョイ書いていきたいと思ってます。