忖度なしに、ズバリ本作の問題点をついていると思う。
よくまぁこんな細かいネタまで...と随所に仕込まれたオリジナルや、石森作品からの引用は確かに凄い。
得意とするアングルや構図も重みや力強さが伝わってくるし、自分も好みだったり...。
入念に作りこまれた設定とあいまって、これでストーリーに面白さがあればと悔やまれる作品だなぁと。
記事で指摘されているように、現実社会とか一般民衆への接点とか影響...それを身近に感じさせる恐怖がまるでないので、ショッカーという存在が薄くて軽く根なし草のようにただただ空回りしているだけ。
コウモリオーグのエピソードも、肝心のヴィルースを使って人間を死に至らしめるシーンもなく、ハイテンションに暴れまわるだけの印象しか残らない。せめて彼のアジトである劇場の観客席に実験用に拉致してきた人間を並べておけば多少は怖さも表現できたのに...。
最後にイナズマンを持ってきたセンスは個人的にも唸るものを感じた。しかし...あの石森マンガの生々しいイナズマンの姿になった刹那、仮面ライダー第0号だとか言って馴染みのないヘルメットとスーツに隠してしまい、ダブルタイフーンまでブン回し、感情移入しかけたこっちは意味不明な展開に興をそがれてしまった。
「超力招来!」とか言ってくれて、イナズマンの姿そのままで電光バリバリに暴れまくってくれた方がどれだけ嬉しかったことか...まぁこれは個人的に感じた一例だけども、なんだかこんな調子でせっかくのネタもただ並べているだけで、機能していないのだ。
庵野ワールドは父・息子・娘の対立軸でストーリー展開することも多いが、娘を「妹」にした事により石森ワールドらしさが失われたように思う。
石森章太郎は「姉」に対するコンプレックスが世界観の源泉になっているからね。
いろいろ尽きないほどアレもコレもと言いたくなるが、本作に面白みが薄いがないのは庵野さんの「偏愛」ゆえか...好きが高じてネタ盛り込み過ぎ、映画作品としての完成度が疎かになってしまった格好だ。
そう、映画作品というよりも、ズラリと並べた庵野さん自慢の「趣味」...オタクコレクションを見ているかのような感覚だ。
対して「シン・ゴジラ」は愛も想いも薄かっただけに、「仕事」として存分に本領発揮でき、完成度の高い映画作品たり得たのだろう。

「日常」という「小」がないと同時に、「終末」という「大」もない。マニアライクな小ネタの数々は楽しいけど「中」ばかりでダイナミズムを感じない。「大」か「小」かどっちかでもありゃあいいのに。それが、私の感じた物足りなさの正体です。 https://t.co/lTTQCiFhjq
— 小原篤/アニマゲ丼 (@botacou) March 28, 2023
よくまぁこんな細かいネタまで...と随所に仕込まれたオリジナルや、石森作品からの引用は確かに凄い。
得意とするアングルや構図も重みや力強さが伝わってくるし、自分も好みだったり...。
入念に作りこまれた設定とあいまって、これでストーリーに面白さがあればと悔やまれる作品だなぁと。
記事で指摘されているように、現実社会とか一般民衆への接点とか影響...それを身近に感じさせる恐怖がまるでないので、ショッカーという存在が薄くて軽く根なし草のようにただただ空回りしているだけ。
コウモリオーグのエピソードも、肝心のヴィルースを使って人間を死に至らしめるシーンもなく、ハイテンションに暴れまわるだけの印象しか残らない。せめて彼のアジトである劇場の観客席に実験用に拉致してきた人間を並べておけば多少は怖さも表現できたのに...。
最後にイナズマンを持ってきたセンスは個人的にも唸るものを感じた。しかし...あの石森マンガの生々しいイナズマンの姿になった刹那、仮面ライダー第0号だとか言って馴染みのないヘルメットとスーツに隠してしまい、ダブルタイフーンまでブン回し、感情移入しかけたこっちは意味不明な展開に興をそがれてしまった。
「超力招来!」とか言ってくれて、イナズマンの姿そのままで電光バリバリに暴れまくってくれた方がどれだけ嬉しかったことか...まぁこれは個人的に感じた一例だけども、なんだかこんな調子でせっかくのネタもただ並べているだけで、機能していないのだ。
庵野ワールドは父・息子・娘の対立軸でストーリー展開することも多いが、娘を「妹」にした事により石森ワールドらしさが失われたように思う。
石森章太郎は「姉」に対するコンプレックスが世界観の源泉になっているからね。
いろいろ尽きないほどアレもコレもと言いたくなるが、本作に面白みが薄いがないのは庵野さんの「偏愛」ゆえか...好きが高じてネタ盛り込み過ぎ、映画作品としての完成度が疎かになってしまった格好だ。
そう、映画作品というよりも、ズラリと並べた庵野さん自慢の「趣味」...オタクコレクションを見ているかのような感覚だ。
対して「シン・ゴジラ」は愛も想いも薄かっただけに、「仕事」として存分に本領発揮でき、完成度の高い映画作品たり得たのだろう。

