随分前に、指を舐めて紙をめくる人のことを書いたことがある。
そんな人のことを、ボクは勝手に「ペロリスト」と呼んでいる。
ボクはあれが大キライ。
自分のもになら、ご自由にである。
誰のものであろうとペロペロ舐めるのが許せない。
毎月、血圧の薬をもらうために通っている病院で目撃した。
カジュアルな格好の男性。
60代後半か。
マガジンラックの週刊文春を持ってソファに座る。
そしてペロリストの正体を現した。
舐めてはめくり、めくっては舐める。
ページの下隅は唾液だらけである(きっと)。
ああいう類いの人たちは、本屋の立ち読みでもペロリストとなるに違いない。
紙を見ればペロリストになる。
満月を見ればオオカミになるように。
この世にペロリストがどれほどいるのかは知らないが、ペロリストの残した唾液爆弾には恐ろしいウイルスが仕込まれていないとも限らない。
それが病院の待合室なら尚更である。
ノロウイルスもインフルエンザウイルスも移動し放題。
ビザもパスポートもいらない。
入国審査もない。
何と恐ろしいことだろう。
ペロリストは何故この世に誕生するのか。
テロリストが利己的な怒りで生まれるなら、ペロリストはどうやって。
テロに連鎖があるように、ペロにも連鎖があるのか。
子が親を見て育つものならば、どちらかの親がペロリストだったのかも知れない。
ならばその親はどうやってペロリストとなり得たのか。
蛙の子は蛙。
ペロリストの子はペロリスト。
テロリストとペロリスト。
どっちもイヤだな。