昨年の4月に入門してから、今月で11か月になるAさんは、
自宅で友人を呼んでのお茶会を開くのが目下の夢です。
そこで、今まで家庭でも易しく出来る「盆略点前」のお稽古を黙々と続けてきました。
60代のAさんは、なかなか覚えられなくて、、と
いつものお稽古の時に、途中で必ずつまずくところが何箇所かあったのですが、
今日は不思議なほどすらすらと手が動き、一気に腕前が上がったようでした。
そこで、思ったままに「今日はずいぶん上手に出来ましたねえ」と声をかけると、
Aさんも「そうなんです!自分でもびっくりしてるんです!」と自分の成長ぶりに
自分で驚き、喜んでおられました。
稽古とはこういうものでしょうね。
目に見えない少しずつの努力を積み重ねて、そして目に見える形にしていく、ということですね。
それは至極当然のことで、誰もが知っていることですが、それは頭で理解しているだけで
本当に分かっていることではないのです。
続けてこそ「継続は力なり」の言葉の意味が分かります。
そして、お茶の稽古では、同じ「型」の繰り返しによって「続ける心」が養われる
といった、体と心の相乗効果を感じることが出来ます。
「千里の道も一歩から」と言います。
一歩一歩歩めば、遠く千里の向こうまで行ける、と言うことですね。
地道にお稽古を続けたら、この度のAさんのように、ある時、はっと
「千里の道を歩いてきた」ことに気づくことになるでしょう。