四年前から毛染めをやめて、
白髪の生えるままにしていたら
それまで着ていた衣服が、似合わなくなってしまいました。
この銀糸を織り込んだ上着もその一つです。
銀糸に光が当たるとキラリと光るので
主にコンサートなどのお出掛け着にしていました。

今、年配者の間で「終活」という言葉がよく聞かれます。
私もため込んだ物を整理しなくっちゃ!
そう思い立ってから、あれこれと処分しましたが
この上着だけは、なかなか思い切れずにいました。
タンスから出しては、また仕舞うを
何度繰り返したか・・・
今でも気に入っているし、高かったし・・・
それも処分にブレーキをかけましたが
それよりも何よりも
まだこれを着て輝いていたい!
少し若い頃の自分とお別れ出来なかった。
というのが
処分出来ない一番の理由でした。

~ 記念に残した身頃とカフスのくるみボタン ~
「断捨離」という言葉も聞いて久しくなりました。
断って、捨てて、離れて、
この言葉は
ヨガの「断行」「捨行」「離行」という
心の執着を手放すための教えに由来するとのこと。
そうだったのか!
私がこの上着を手放せなかった
「少し若かった頃の自分にお別れ出来ない」
その心の問題は
「若い頃の自分」を思い出して淋しい
という問題ではなく、
年老いて行く自分を真に受け入れられず
「若い頃の自分」に執着していたのだと
ようやく気づいた。
* * *
そう納得して
久しぶりに着てみると、全然似合っていない自分が
鏡に映っていて
これでようやく
少し若い頃の自分と決別出来た思いがしました。
物の処分は自分の心との対話のようなものですね。
これからも
まだ沢山残っている衣類や茶道具などと
ゆっくりと対話しながら断捨離を進めて行こうと思います。
それが終活にも繋がることだと思っています。