ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ヘヴンズストーリー

2010-10-02 16:50:43 | は行
これはスゴイ映画ですよ。

「ヘヴンズストーリー」87点★★★★

4時間38分の超大作(あいだに休憩アリ)で
見る前は正直、腰がひけました。

でも
一睡もしなかった。


物語は全9章からなり
一つひとつがうまくつながっていきます。

両親と姉を殺された8歳の少女サト(本多叶奈)
テレビで
少年(忍成修吾)に妻子を殺された男トモキ(長谷川朝晴)が
「この手で犯人を殺してやる」というのを見て
自分も生きようと誓う。

そして数年後
トモキは復讐代行業の男(村上敦)に
接触しようとするが……


おそらくは
99年に起きた光市母子殺害事件にインスパイアされ
それを発端に作られた物語。

いまの時代に書かざるを得なかったストーリーだと思う。

「復讐の復讐は何?」

この問いかけとそこにいたる展開が
ものすごくシンプルに鋭く
人間の性と現代の病という
問題を貫いています。

そして現代に棲む実体のない
“魔物”を生み出す
キーワードのひとつが
“団地”なんですよ。

それがすっごくうまい。

サトの両親が憧れる緑のなかの集合団地や
廃坑になった鉱山団地など
ロケ地も練られていて

70年代生まれ団地育ちの
自分に大ヒットいたしました。


ラスト、あのシーンに
怪物が現れたように感じたのは
わたくしだけでしょうか。


ぜひ体験してほしい映画です。


★10/2からユーロスペース、10/9から銀座シネパトスほか全国順次公開。

「ヘヴンズストーリー」公式サイト

ちなみに劇中に登場するアニメーションと
宣伝用のスチール写真を
友人の新鋭カメラマン壱岐紀仁氏が撮っております。
いいシャシンです。
コメント (2)
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