ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

死刑台のエレベーター

2010-10-13 11:35:47 | さ行
これ「いつか読書する日」の監督なんだ……。

「死刑台のエレベーター」63点★★☆


1957年に作られた
超名作映画のリメークです。


大企業の会長夫人(吉瀬美智子)
会長の部下、時藤(阿部寛)と愛人関係にある。

夫人は時藤に
会長を自殺にみせかけて殺すように持ちかける。


完全犯罪のはずだったが
思わぬところで運命の歯車が狂い出し……。



話も展開もオリジナルに忠実。

最近、オリジナルを見直してなければ
もっとハラハラできたかもと
ちと残念。

でも
「あの人を殺して私を奪いなさい」は
名ゼリフ賞はいくかもね。


小説→映画でも、映画→映画でもそうですが
特にミステリーを元にしてるのって

ラストが違うとか、相当に換骨奪胎してるとかでないと
やはり衝撃度も、おもしろ味も減少するのはいたしかたないところ。

でもこの映画が狙ったのは
とにかくオリジナルを
どう美しく再構築するか。

それをわかって
見に行くのがいいと思います。


実際、本作は
吉瀬のシャープなラインの赤いコートが
映画の雰囲気すべてを決定している。


常に髪の毛1本乱さない
完璧な美しさを維持し続ける吉瀬は

現実味はないけれど
映画的アイコンとしては
成功していると番長は思いました。


こういうのって
内容いかんよりも
意外と脳裏に焼き付いて離れなかったりするんですよね。


異国情緒漂う横浜の官庁街や元町など
ロケ地選びもがんばっている。

ただ
本筋にからむ
若いカップル(玉山鉄二&北川景子)の暴走への過程や背景は
やはり書き込みが足りないなあ。


この二人の存在の意味づけって
重要かつ難しいところですからねえ。
ここがんばって欲しかった。


それにしても
53年経ってもうまい話だなあと感心します。
本作と同時に
オリジナルのニュープリント版も公開中。
(10/9からシアターイメージフォーラム)



未見の場合はどっちを先に見るか
悩みどころですなあ。

★10/9から全国で公開中。

「死刑台のエレベーター」公式サイト
コメント (2)
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