ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語

2010-10-22 12:12:57 | や行
いい意味で
けったいな作品、と言えますね。

え?“けったいな”って言葉使わん?

「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語」69点★★★

「クジラの島の少女」の
ニキ・カーロ監督の最新作です。

1808年、フランス・ブルゴーニュ地方。
若き農夫ソブランは
自らワイン作りをしたいと考えていたが
「一介の農夫が何を」と
一笑に付されてしまう。

そんなソブランの前に
天使が現れ、ある助言をくれる……。

「葡萄」って漢字がぴったりハマる映画ですねえ。

土の匂いや大地を踏みしめる
現実感のなかに

羽根を持つイケメン天使が
パタパタと羽ばたいて出てきちゃうような

耽美な世界が交錯する
実に不思議な作品です。

かといって
「なんじゃそりゃ」とはならず

「まあそれもありか、必要か」と
受け入れられるのが
また不思議なところ。

そもそも映画という媒体の持つ
可視化という特性に
のっとっているからでしょうか。
(可視化=人間が直接「見る」ことのできない現象や事象、あるいは関係性を、「見る」ことのできるものにすることを言う……ウィキペディアより)

1年かけて作物を育てること
子どもが生まれ、成長する様子などを
月日の経過を見せながら描くことで

「人の営み」の永続性も
よく伝わってきます。

ただ見たら絶対ワインが
飲みたくなるだろうなと思ったんですが
そうでもなかったんですねえ。

おそらく本物なんでしょうが
なんだかちょっとカビ臭く
年代モノな感じがして……。

ツウにはいいのかもしれませんが
なんせ番長のワインといったらほら、
チリや南ア系ばかりですから……。


★10/23からBunkamura ルシネマで公開。

「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語」公式サイト
コメント (2)
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