ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

神々と男たち

2011-03-01 16:11:13 | か行
いや~
昨日のアカデミー賞、
盛り上がりましたねえ。

特に毎回気になるのが、外国語映画賞。

この映画は
2010年カンヌグランプリで
アカデミー賞のフランス代表だったけど
最終ノミネートはされなかった。

内容からなのか
他国のレベルが高かったのか……。


「神々と男たち」90点★★★★

実話に基づく話です。


1990年代、アルジェリアの村にある
カトリックの修道院。

10人ほどの修道士たちは
イスラム教徒の地元民たちとも
よい関係を築き、

診療所を開いて
人々を分け隔てなく診ている。


が、アルジェリア内戦が勃発し
イスラム過激派グループが
市民を虐殺し始めた。

軍は彼らに
この地を離れるよう警告するのだが――。



これは素晴らしい映画でした。


暴力にまみれた世界を救うものとは
いったい何か。

宗教を背景にしながらも
その大きな問いかけが万人の心に届く
「バベル」にも似た
圧倒的な威力を持つ作品だと思いました。


実話だというのも衝撃だったなあ。

危険が迫るなかで修道士たちは
「この地に残るべきか」と
テーブルを囲んで
相談を繰り返すんだけど(この画がまた宗教画のよう!)


修道院長がこういうんですね。

「よき羊飼いは、狼が現れたといって
自分の羊たちを見捨てない」。

なんか、染みた~~!


人が信念に従って動く
その動機って何だろう?
信仰?犠牲的精神?美学?


普通はなかなか
その深みまで
伝えきれるものじゃないけど

この作品からは伝わってくるように
番長は感じました。


その理由のひとつは
修道士たちの毎日の暮らしぶりを
静かに丹念に映したことではないかと思う。


寒い朝から祈りを捧げ
聖歌を歌い、黙想し

静かにパンを食べ
畑で野菜を作り
ハチミツを取って、市場で売る。

そんな
つつましく規則正しい生活がとても美しく
なんだかこっちの心も
キレイになる気がするんですよ。便乗(笑)


たとえキリスト教を知らなくても
ほかの宗教を信じていても
なにかを受け取れるはずです。

ぜひ。

★3/5からシネスイッチ銀座ほか全国で公開。
「神々と男たち」公式サイト
コメント (2)
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