ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ピュ~ぴる

2011-03-25 23:44:12 | は行

いま世界でもっとも
必要とされている「寛容」と「愛」。


そのあるべき姿がここにあります。


映画「ピュ~ぴる」80点★★★★



心は女で体は男な
性同一性障害の
現代アーティスト“ピュ~ぴる”。


手作りのコスチュームをまとって
自分を変身させるパフォーマンスをし

海外の美術館に展示されたり
イタリア版「VOGUE」に紹介もされている。


そんな彼が悩んだり、恋をしたり
物理的にも「男」から「女」に変身していく様子を

長年の友人でもある監督が
8年にわたって追い続けた
珠玉のドキュメンタリーです。


これはですね~
まっすぐで、ほんといい映画なんで
見て欲しいですねえ。


まず単純に
主人公のピュ~ぴるがとてもいい子!(笑)


素直で一途で一生懸命で


心の奥からわき上がる衝動で
作品を作り続けている。


その様子を見ていると
「内なるものを吐き出さざるを得ない」
“業”も背負った真のアーティストなんだと
感心します。

実際、作品にも度肝抜かれますしね。


そして
おそらく彼の素直さの源であろう
彼の家族が素敵すぎる!



たぶん東京近県の
ごく普通のベッドタウンに暮らす家族は

10代のころから自作の奇抜な衣装で
電車に乗っていたという息子を


それぞれのやりかたで受け止め
受け入れている。


弟にゲイと告白されて
さらりと名言をつぶやくお兄ちゃん。

どんな道をゆこうとも
“自分の子”として
彼を愛してることをきちんと表す
お母さんとお父さん。


たとえ完全には理解されなくとも
自分を許容してくれる人に恵まれることが
どれだけ大切で幸せなことか。


いまこの生きにくい世の中で
もがいている誰もが
涙し、勇気づけられるのではと思います。


ずっとキワモノとして
メディアに取り上げられていたピュ~ぴるを
「アーティストとして評価すべきだ!」と
立ち上がった写真家など


彼を助ける人々の
温かさもよくて


それも紛れもなくピュ~ぴる自身の
キャラクターのおかげだと思う。



監督はいまも変身を続ける彼を
撮影し続けているそう。

続編も可能性ありとのことで
互いにがんばって欲しいです。


★3/26から渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。

「ピュ~ぴる」公式サイト


おなじみ
週刊朝日「ツウの一見」(3/30発売、のはず)で
本作について
「ハッシュ!」「ぐるりのこと。」の
橋口亮輔監督にお話を伺いました。

ピュ~ぴるのヒリヒリするほどの痛みに
共感したと絶賛する監督。

ご自身の経験を
踏まえながらのメッセージ
こちらにもヒリヒリと伝わりました。

ぜひ、ご一読ください。


ちなみにインタビューには
橋口監督をリスペクトする松永監督も同席。

実はもともと俳優だった松永監督
「ハッシュ!」にも出演してるんです。

さあ、どこに出ているか――?

わかったかたは
番長にお知らせを!

賞品は…ありませんすみません(笑)
コメント (2)
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