イングマール・ベルイマンの作品をそんなに知らなくても大丈夫。

これは「愛の教科書」として、かなり使えると思うのです。
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「リヴ&イングマール ある愛の風景」70点★★★★




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「野いちご」(57年)「処女の泉」(60年)などで知られる
イングマール・ベルイマン監督と
彼の一時期の妻であり
ミューズとなった女優リヴ・ウルマンの
40年余りに渡る関係と、その奇跡を描いた
ドキュメンタリーにして、ドラマ。


27歳離れた監督と女優が出会い、恋に落ち




痛みと別れを経て


かけがえのない友人になる過程を、


もうすぐ75歳になるリヴ・ウルマンの独白と、
彼女が出演した映画のシーン、
そして、当時を再現するようなイメージ映像をミックスして描いてる。

監督の過去作品とインタビュー画像などが
とてもスムーズにつなげられているのがすごくて、
それってその時の実生活に、
まったくハマるような映画を撮ってたってことなんですよね。

「作家の実生活って
これほどまでに作品に反映されるのか――!」

おそらく、実際の状況はもっとドロドロだったろうし、
過去は美化されるものだろうし


リヴ・ウルマンの語りも表情も「さすが女優だわ……」

しかし彼らの40年の愛の変遷と記憶、その絆には、
“本物”の時間の経過が積んだ重みがあり
そこに感銘を受けるんですわ。

30代のリヴが監督と別れて新たな一歩を踏み出すくだりなど、
女性として共感できるし

連れ添ったもの同士が経験する痛みも、悩みも
誰もに思い当たる苦味かなと思う。

そして現在のリヴの強い瞳と年輪の美しさは、
自ら選択し、決断し、自立した
その経験に裏打ちされているのだろうな、と思いました。


若いカップルにも老夫婦にも、
グッとくるものがあるのではないでしょうか。


★12/7(土)からユーロスペースほか全国順次公開。
「リヴ&イングマール ある愛の風景」公式サイト