映画館の設置が法律で禁止されている(!)

サウジアラビアから
初の女性監督による作品。
これって、スゴイことっすよね?!

「少女は自転車にのって」73点★★★★




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サウジアラビアの首都リヤドに住む
10歳の少女ワジダ(ワアド・ムハンマド)。

女子校にヒジャブを被らずに登校し、
厳しい校長に目をつけれらてる問題児だ。


彼女は自転車が欲しくてたまらないのだが


母親(リーム・アブドゥラ)は
「女の子が自転車なんてとんでもない!」と許さない。

ワジダはある方法で
自転車を手に入れようとするが――?!




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粛々たる女性を“鏡”

どうしてもその枠からはみ出してしまう

10歳のおてんば少女の成長を通して、
サウジアラビアという国がどんなとこなのかを
我々に知らせてくれる良作です。


サウジアラビアのムスリム社会で女性は
ヒジャブ着用にはじまり、
自分で自動車を運転することも許されていない。

しかも
女性の貞操をめちゃくちゃ重視する反面、
一夫多妻や早い結婚は容認されている――。

うげえ~~

女性にとって、生きにくいことこの上ない社会じゃありませんか。

そんな抑圧と閉塞に
本能的に逆らってしまうような
少女ワジダの反抗心や冒険心が勇ましく

彼女のお母さん(美人!)の置かれた状況にも
ムスリム社会の理不尽さが自然に込められていて、考えさせられます。

監督のハイファ・アル・=マンスール女史は
アメリカ人外交官の夫と結婚後、
シドニー大学で映画学を学び、
本作が初の長編とのこと。



単に困難な状況で作られた、とかではなく
映画としてのレベルが高いのがスゴイ。

サウジでは映画に出てくれる女優を探すことも難しく
ワジダ役のワアドは
オーディションにやってきて


その“不遜な”(笑)態度が目を引いたそうで

まさに役を体現してるといえるでしょう(笑)
美人とは言えないけれど、男の子相手に引くこともなく
意外とちゃっかりしている面もあって
なかなか世渡り上手なところが、キュート。

そして
ダルデンヌ兄弟の「少年と自転車」のように
どこの国でも“自転車”は
少年・少女が自力で手に入れられる“自由”の象徴だなあと。


こんなにも不自由な世界で、
自ら“自由”手にしようと奮闘するワジダに
「がんばれ!」

★12/14(土)から岩波ホールほか全国順次公開。
「少女は自転車にのって」公式サイト