これはおもしろかった!
トルナトーレ監督、久々にキター!


「鑑定士と顔のない依頼人」80点★★★★




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天才的な目利きの鑑定士で
敏腕オークショニアでもある
ヴァージル(ジェフリー・ラッシュ)は


あるとき
「屋敷をまるごと査定してほしい」という
依頼を受ける。

だが、屋敷に行っても依頼人の女性は姿を現さず、
美術や調度にも
特にめぼしいものはなさそうだった。

が、“あるもの”に惹かれたヴァージルは
奇妙だとは思いつつ、
査定を進めようとするが――?!

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「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」の
ジュゼッペ・トルナトーレ監督の新作。
どこか“映画のワクワク”の原点に返ったような
実に魅力的なミステリーで、これはハマりました。

「こうなるだろうな」と読めないわけではないですが
ここは仕掛けの見事さに、
やられてしまいましょう。

天才的な鑑定眼を持ちながらも
生身の人間が嫌いで、孤独な主人公ヴァージル(ジェフリー・ラッシュ)。

人を思いやることができず
全ての人間を見下しているような彼は、
実に鼻持ちならない人物なんですが


どこか肩入れしてしまうような
部分もある。
女性と付き合ったこともなく
オタクでオクテという彼のキャラがしっかり作り込まれているので
ミステリーのおもしろさと
ドラマがちゃんと融合するんですね。

んで、彼は姿を現さない依頼人の女性に振り回され、
やがて彼女に恋までしてしまう。


女性と付き合ったこともない初老男の恋って
怪しさ満載で
観客はヒヤヒヤするんだけど

彼はその傲慢な性格ゆえ、
せっかくのヒントも逃してしまうんですよねえ・・・。

すなわち、あそこにいるあの人とか・・・(言わない、言わない。笑)
それに主人公の傲慢さは
日々の仕事のなかで、なんでも自分に判断をゆだね、神のごとくあがめ

自分を信じて大金を払ったりする人々の
“盲目さ”を嘲笑しているのかなとも思う。

そんな“憐れな民”を
人に見ていないのは当然なのかもしれない。
見終わってから「あれはこういうことだったのか!」と
考えを巡らせるのも楽しいし、
豪華な美術品

主人公のラグジュアリーな暮らしぶりも目の保養っす。

★12/13(金)からTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。
「鑑定士と顔のない依頼人」公式サイト